こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
先日、私立学校の合同進学相談会にて、お悩み相談ブースを担当する機会がありました。その日だけで10組の親御さんが相談に訪れたのですが、ほぼ全員が同じ言葉を使って悩みを表現していたのです。
その言葉とは
「うちの子、やる気がなくて困っているんです」
中学受験を控えるこの時期、きっと多くの親御さんが同じような不安を抱えていることでしょう。
いったいどうしたら、お子さんが「やる気」になるのでしょうか?
そもそも「やる気がない」とは、いったいお子さんのどのような状態を見て、親御さんが「やる気がない」と感じるのでしょうか?
この「やる気がない」という言葉を、一度立ち止まって考えてみませんか?
今回のブログでは、子どもの「やる気がない」に注目し、深掘りします!
中学受験に取り組む全ての学年に役立つ内容となっています。どうぞ最後までご覧ください!
受験生だから、組分けテスト前だから、学校から帰ったらすぐに机に向かって勉強してほしい。
友だちと外で遊ぶのを控えてほしい。
受験が終わるまでゲームは一切封印して欲しい。
そんなふうに思っていませんか。
それができていないから、「うちの子はやる気がない」と感じているのではありませんか。
「受験生は寝る間も惜しんで必死に勉強するもの」
本当ですか?
親御さんが小学生の頃はどうでしたか?
親御さんは、毎日帰宅後すぐに家事にとりかかりますか?
私は帰宅したらまずホッと一息ついて、お茶を飲んだりスマホを見たりしてしまいます。やらなくてはいけないことがあったとしても、すぐにとりかかることはできません。
外から帰ったら、誰しもそれなりに気持ちの切り替えに時間が必要な気がします。
親御さんから見た
「子どものやる気がない」は、
よく考えてみると極めて主観的なものといえるのではないでしょうか。
本当にやる気がないのか、それとも、目の前のお子さんが「親御さんが望む姿ではない」ということにすぎないのか、ここはよく考えてみる必要がありそうです。
もし、本当にやる気がないのだとしたら、「本当にやる気がないんだから!」と叱るのではなく、お子さんの学習に対するいまの気持ちを、丁寧に聞いてあげることが必要です。
親心としては、受験に成功してほしい、良い学校に進学してほしいという強い思いがあります。
それはまさに愛情そのものであり、決して悪いことではありません。
しかし、その過度な期待が知らず知らずのうちにお子さんへのプレッシャーとなり、お子さんの自己肯定感を下げてしまう原因となっていることをご存知でしょうか。
学校から帰ってから、塾の宿題もやらずにゲームに没頭するお子さんに対して
「こんなことをしていて、志望校に受かるわけないじゃないの!」
と声を荒げた経験がある親御さんは少なくないでしょう。
お子さんは、親御さんのことが大好きです。だからこそ敏感に親御さんの気持ちを感じ取ります。親御さんが、お子さんの成績や塾の宿題のことで不安や焦りを抱えていると、それがそのままお子さんに伝わります。
「自分は期待に応えられていない。自分では期待に応えられない。」
と感じてしまうのです。
その結果、自信を失い、「どうせ自分はダメなんだ」と思い込んでしまうこともあります。
中学受験の途中で、親御さんのお財布からお金を抜き取ったり、家の中で暴れて物を壊したり、いわゆる問題行動を起こしてしまうお子さんもいます。(実際、少なくありません)
「問題行動」と書きましたが、お子さんが問題なのではありません。そのような行動を起こしてしまう背景が問題なのです。
なぜならば、このような行動は、お子さんからのSOSだからです。
もっと自分の本質を見てほしい。
自分を認めてほしい。
という心の叫びが、そのような行動となって表面化するのです。
ここでも必要なのは叱責ではなく、お子さんの本音に耳を傾ける姿勢です。
ここで、親子のコミュニケーションを改善し、お子さんの「やる気」(お子さんが親御さんが望む姿になるのではなく、お子さんの内側から湧き出る本当のやる気のことです)を引き出すための「MaxC理論™」をご紹介します。
この理論では、子どもの最大限の集中力(Maximum Concentration)を引き出すために、親が意識すべき4つの環境要件を提案しています。
大人と子どもでは時間の流れるスピードが異なります。
つい「早くしなさい」「どうしてやらないの?」と言いたくなることもありますが、まずは深呼吸をして、子どもが自ら行動を起こすまで待ちましょう。
好意的な関心を持って見守ることで、子どもは自発的に行動できるようになります。
例えば、お母様が帰宅したときに、お子さんがソファに寝転がってスマホゲームをしていたとします。
つい「宿題はやったの?!はやく勉強しなさい!」と尖った感情を向けたくなりますが、そこをグッと堪えて待つのです。
「ただいま」と声をかけて、お子さんの様子をそっと見守りながら待っていると……多くの場合、しばらくして自分からスッと宿題を始めます。お子さんによってそこまでにかかる時間はさまざまですが。
ただ待っているだけでは辛い!という方は、たった一言だけ
「宿題とおやつ、どちらが先?」
と聞きましょう。
お子さんが「宿題」と答えたら、お母様が宿題のページを開き、お子さんに「はい!」と元気な笑顔とともに鉛筆を手渡しましょう。
「おやつ」と答えたら、おやつを準備し、一緒に食べて、食べ終わったらお母様が宿題のページを開き、お子さんに「はい!」と元気な笑顔とともに鉛筆を手渡します。
常に【笑顔を添える】のがポイントです。
ぜひ、お試しください。
子どもには子どもなりの理由や考え方があります。
思ったように行動しないからといって否定的な感情をぶつけるのではなく、一旦そのままを受け入れてみましょう。
そして笑顔で
「どうしてそう思ったの?」
「どうしてそうしたの?」
と問いかけてください。自分を受け入れてもらえることで、子どもの自己肯定感が育ちます。
例えば、なかなか宿題に取りかからないお子さんに対して、叱るのではなく問いかけます。
「お母さんはそろそろ宿題をやったほうがいいと思うのだけど、宿題をやらない理由があるの?」
もしかしたら、ふてくされた顔で
「あとでやる」
「べつに」
などと言うかもしれません。
それでも「ふうん、そうなんだ」と受け入れます。あとでやるんだね!えらいね!応援しているよ!という気持ちを込めて受容します。
また、ときには、
「宿題を学校に忘れてきた」
「学校から帰る途中で、犬がくわえて持って行った」
などと、不自然な言い訳をするお子さんもいます。
でも「言い訳をするんじゃありません!」と咎めるのはよくありません。
咎められるとお子さんはますます意地を張ってしまうものです。
たとえ明らかに不自然な言い訳でも、信じます。
「そうなんだ。犬が持っていっちゃったのね」
と受け止めてください。
もし、その話がうそだったとしたら、お子さんはうそをついた自分をどう感じるでしょうか。
少し心が黒くなったような気持ちになるかもしれません。
「言い訳をするんじゃありません!」と咎められるよりもずっとずっと深く心に響く、お子さんにとって大事な経験となることでしょう。
そしてもし、本当に犬が持って行ったのだとしたら、お子さんは真剣に受け止めてくれたことを嬉しく感じるでしょう。
さらに詳しくそのときのことを話して、困っているお子さんの気持ちを打ち明けてくれるかもしれません。
どんな場合でも、お子さんの発言や気持ちを受容することが、親子のコミュニケーションにおいて非常に重要です。
子どもの気づきや心の動きに対して、
「なるほど、そうだったんだね」
と共感を示しましょう。
これにより、子どもは安心して自分の気持ちに向き合い、自分の内面を言葉にすることができるようになります。
お子さんが楽しいとき、嬉しいとき、その気持ちに寄り添い共感しましょう。
例えば、食事のときは、おいしいね!と美味しさに共感します。
身体を動かしたら、運動して汗をかくと気持ちがさわやかになるね!と共感します。
きれいな景色をみたら、すごいね!と共感します。
ネガティブな感情でも同じです。
テストで思うような点が取れなかったときは「くやしかったね!」
塾のクラスが下がったときも「惜しかったよね!一生懸命がんばったよ!」
宿題をすぐにやらない理由を話してくれたら、「なるほど、そう思うんだね。話してくれてありがとう」
親御さんはいつでもお子さんの味方でいてあげてください。嬉しいポジティブな感情も、悔しいネガティブな感情も、お子さんが一番認めて共感してもらいたいのは、親御さんなのです。
子どもの感情や気づきを認めるだけでなく、親御さん自身もその気づきを通じて成長していく姿勢を持ちましょう。
共に心を動かすことで、子どもは自分の考えを素直に肯定的に受け入れ、さらに深く考えたり試行錯誤を楽しむことができます。
共感のさらに先にあるのが「共振」です。
お子さんの気持ちに寄り添い、共感し、親御さん自身の心とお子さんの心を一緒に動かす。これが「共振」です。
「小テストで、思うように点が取れないから、がんばる気持ちが少なくなっちゃったのね。そういうこともあるよね。
これから10分間だけ、一緒に算数のテキストをやってみない?」
ここでの注意点は、親御さんが勉強を教えるのではないということです。
教えるというシーンでは、教える人、習う人の上下関係が生まれがちです。
「教える」ではなく「一緒にやる」のです。対等な立場でひとつのことに取り組みます。
日頃、親御さんが丸つけをするときは、解答・解説の冊子を見ながら丸をつけているだけですよね。
実際に、中学受験の問題集を解答・解説を見ずに取り組んでみてください。そんなに簡単には解けませんよ。
MaxC理論™の4つの要件を実践するためには、まず親御さんご自身が
「自分は子どもに何を求めているのか」
を見つめ直すことが重要です。ご自身のお子さんに対する期待や不安を客観的に捉えることで、お子さんへの接し方が自然と変わってきます。
例えば、「子どもが自発的に勉強しない」と感じたとき、それはなぜでしょうか?
「志望校に合格してほしい」
「将来困らないようにしてほしい」
といった思いは、親として当然でしょう。
なぜそれが、怒りやイライラになるのでしょうか。そこを自問してみるのです。
親御さんご自身の心は見えてきましたか
例えば、お子さんと歳の近い同僚のお子さんと比較して、小さな嫉妬の心が芽生えていたり、十分に学習環境を用意してあげられていないと負い目を感じているなど、様々なケースがあります。
それが見えてくると、お子さんに対する必要なアプローチは、「やる気がない!」と叱ることではないのは明らかです。
ご自身の気持ちに向き合い、理解したところをスタート地点として、MaxC理論の4つのアプローチを実践してみましょう。
紙に書き出して、ご自身がお子さんに対して何を期待しているのかを明確にしましょう。これにより、感情的にならずに冷静に考えることができます。
お子さんが何を感じ、何を考えているのかを知るために、時間を取って話を聞いてみましょう。このとき、批判やアドバイスをするのではなく、ただ聞くことに徹することが大切です。
「待つ」「受容」「共感」「共振」の4つの要件を意識して、お子さんと接してみてください。これにより、お子さんは自分のペースで考え、行動することができるようになります。
結果だけでなく、過程での努力も認めてあげましょう。「よく頑張ったね」「成長しているね」といった言葉は、お子さんの自己肯定感を高めます。
これらのステップを踏むことで、お子さんは自信を持って自ら行動できるようになります。
親御さんが子どもを信じ、見守る姿勢を持つことで、お子さんの自己肯定感は高まり、内から湧き出る本物の「やる気」が行動を起こします。
「子どものやる気がない」
これは、親御さんの主観にすぎません。
子どもは、子どもだけでなく私たち人間は誰しも
「もっとできるようになりたい」
「よりよく生きたい」
という願いを、本能として持っています。
テキストの問題だって、塾の小テストだって、できると嬉しい。できないと少し残念。
そんな気持ちを繰り返しながら、少しずつ少しずついろいろなことができるようになっていくのです。
小学生ですから、そもそも受験とは何かあまりよくわかっていません。
なぜ宿題をやらなくてはいけないのか、その理由は大人に教えてもらわなければわかりません。
それなのに、家のソファで親御さんに買ってもらったゲームで遊んでいる姿を
「やる気がない」
「やる気がないなら受験しない」
と大人の価値観で決めつけてしまうことは、お子さんの「もっとできるようになりたい」という内なる芽を踏み潰してしまうことに等しいです。
イライラっときたら、その感情をお子さんにぶつける前に、「なぜイライラしたのか」を考えてみてほしいのです。
ほとんどの場合、その原因はお子さんへの愛情ではないでしょうか。
だったらなおさらに、お子さんの「もっとできるようになりたい」という内なる芽を、親子で大切に大切に育てましょう。
そして、子どもはみんなで育てるものです。
親御さんが辛くなったら、周りをもっと頼りましょう。
親御さんだけで抱え込まないように、いつでも相談してください。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
私にできることが、少しでも皆さまのお役に立てたらと、精一杯心を込めて書きました。
私は、中学受験には弊害もあると感じています。
ただし、中学受験が直接弊害なのではなく、その取り組み方によって、お子さんの弊害となる場合と、お子さんとご家族にとって大きな成長チャンスとなる場合があると捉えています。
その鍵は、中学受験における、お子さんと周りの大人(親御さん、学校の先生、塾や家庭教師の先生)との関わり方だと考えます。
すべての中学受験生が、中学受験が能動的学習のきっかけとなり、入試のあとに「がんばった!」「やりきった!」と思える経験となるように、心から願い、応援しています。
このブログの感想やお子様に関するモヤモヤ、お悩みなどをお聞かせください。
2ndスクールオンラインは、中学受験における親子のポジティブメンタルに注目したオンライン個人指導塾です。
学年途中での転塾は原則的に勧めません。
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