こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
夏期講習を前に、
「このまま今の塾で大丈夫でしょうか?」
というご相談を多くいただくようになりました。
その理由の多くは――
「一生懸命やっているのに、まったく偏差値が上がらない」
というもの。
多くのご家庭が、この壁にぶつかります。
お子さんが真剣に頑張っているのに結果が出ないとき、
保護者の方としては、どうにかしてあげたくなるものです。
だからこそ、個別塾や家庭教師を併用し、解き直しノートを作成して、苦手単元の復習スケジュールを綿密に立てて…
あらゆる方法を試してみる。それでも、偏差値が上がらない――。
今回は、その「最大の理由」について、
2ndスクールオンラインの現場で実際にあったエピソードも交えながら、じっくり深掘りしていきたいと思います。
実は、4年生以上になると、親御さんがお子さんに手をかければかけるほど、偏差値やテストの成績が伸び悩む――
そんな、期待とは裏腹の結果に直面するケースが少なくありません。
たとえば、こんなふうに:
……一見、理想的な家庭学習のように思えますが、実際には逆効果になることが少なくないのです。
最大の理由は、
親御さんが頑張れば頑張るほど、お子さんの「当事者意識」が失われていくからです。
もちろん、学習面での親の関わりが悪いわけではありません。
ただし、ここでとても重要なポイントがあります。
それは、
「その取り組みに、お子さん自身の“主体性”があるかどうか?」ということ。
せっかくのサポートも、熱が入りすぎると、いつのまにか「親御さん主体」の取り組みになってしまいます。
すると、お子さんは次第にこう感じるようになります。
「やれって言われるから仕方なくやる」
「やらないと叱られるからやってるだけ」
本来は、未来の自分のために、学習に取り組むはずなのに、
いつの間にか「誰かのための学び」へとすり替わってしまうのです。
こうなると、学習の目的が
「宿題をやってノートを塾に提出すること」
になってしまいます。
でも、本来、宿題は「提出するためにやるもの」ではありません。
宿題は、授業で学んだ内容をより深く理解し、自分の中に定着させるためのものです。
塾の先生が提出を求めるのは、提出を前提にした方が学習のモチベーションが保ちやすいと考えてのことです。
実際、宿題の提出を求めない塾もあります。
私は、それも一つの正解だと考えています。
なぜなら、提出すること自体が目的になってしまうと、子どもによっては
「とりあえず答えを写して提出する」
という行動に出てしまうからです。
答えを写して提出する――
それは、言うまでもなく「学び」ではなく、「やっているふり」です。
そして、その行動の背景にあるのは、子どもの“主体性の欠如なのです。
「とにかく間違えないように」
「早く正解にたどり着けるように」
――お子さんの学習が、そんなモードになってはいませんか?
勉強とは、本来「考える力」を育てるものです。
けれど、
成績を上げたい
ミスを減らしたい
という思いが強くなると、「考える」という行為そのものの価値が、知らず知らずのうちにすり替わってしまうことがあります。
たとえば、
これはすべて、
「正解を出すこと=学びの目的」
になってしまっている状態です。
正解を出せば褒められ、不正解だとがっかりされる。
テストで点を取ることばかりが重視される。
――そんな日々が続くと、子どもは「わからないことを考える時間」が、無意味にすら感じられてしまうのです。
でも本当は、「うーん…どうしよう?」と考え込む時間こそが、学びの核心です。
私が授業の中で大切にしているのは、子どもが「なんとなくわかっている」状態から、「本当にわかった」に変わる瞬間を一緒に味わうことです。
それは、答えを一緒に確認することではありません。
こうしたやり取りの中で、子どもは「知識と知識がつながる感覚」を得ていきます。
そしてそれが、「わかった!」という本当の学びの手応えになるのです。
。
難しい問題に向き合うとき、
それを「自分に向かない」と避けるのか、「面白そう」と思って取り組むのか。
この違いを生むのは、生まれ持った才能ではなく、
「じっくり考えていいんだよ」
「すぐに正解しなくて大丈夫だよ」
という周囲の関わり方です。
挑戦すること、間違えること、迷うこと――
それらを否定せず、そのプロセスの中に価値があると伝え続けること。
それが、子どもが“考える力”を自分の中に育てていく土壌になるのです。
「言われたからやる」から「自分でやる」へ。
それは、中学受験の成功を分ける分岐点です。
でも、「自分でやりなさい!」と声をかけただけで、子どもが突然変わることはありません。
では、子どもが自ら学びに向かうようになるとき、いったい何が起きているのでしょうか?
これまでたくさんのご家庭を見てきて感じるのは、偏差値が伸びるとき、子どもの目が変わる、ということです。
それは、学習量が急増したからでも、急に成長したからでもありません。
「このままじゃダメだ」と、子ども自身が思った瞬間に、彼らは自分の足で、受験という山を登り始めます。
以前、こんな6年生がいました。
5年生のときから算数の「比と割合」でなかなか得点ができないため、夏期講習では重点的に指導を行いました。
宿題も毎日しっかり出していました。親御さんも真剣で、家庭でもかなり時間を割いて対策を進めていました。
ところが、いつまでたっても「比と割合」が習得できないのです。
ノートの見開き両側に、びっしりと宿題の解答を書いているものの、図を書いたり計算した形跡はありませんでした。
そして答え合わせをしてみたら、全て誤答。
これは単なる「苦手」ではない、と感じた私は、本人とじっくり話すことにしました。
「もしかして、宿題を出さなきゃ、でも取り組む時間がないと思って、問題文もよく読まずに、ノートに適当に答えらしきものを書いてみた?」
と聞くと、彼は少しうつむいて「はい、そうです」と認めました。
責めることはせず、静かに問いかけました。
「なぜ今この単元に取り組んでいるのか、わかる?」
「比と割合を、今ここでちゃんとやっておかないと、どこで困ると思う?」
最初は首をかしげるばかりだった彼も、ゆっくりと説明を重ねるうちに、大人たちが焦っている理由を自分なりに受け止め始めたようでした。
そして、少し間をおいて、こう言ったのです。
「…じゃあ、ちゃんと読んで、考えて、もう一度取り組んでみます。」
この言葉には、大きな意味がありました。
“言われたからやる”から、“自分のために考える”への第一歩だったのです。
子どもの「やりたい」「試したい」を邪魔しないこと
必要以上に管理しない、でも放っておかない距離感
子どもの思考と成長に付き合う姿勢とは
偏差値が伸びないとき、子どもよりも先に焦ってしまうのは、むしろ大人の方ですね。
「このままじゃ間に合わない」
「もっと危機感を持ってほしい」
「今が頑張りどきなのに、本人がわかっていない」
そう思うと、つい勉強の量を増やしたくなったり、管理を強化したりしてしまいます。
でも、子どもの「やる気」は、誰かに引き出してもらうものではありません。
あくまでも「内側から芽生えるもの」であり、そのためにはまず、子ども自身が“自分の勉強”として捉えられる環境が必要です。
お子さんの学力を伸ばしたいとき、「教えること」や「管理すること」にばかり目が向きがちです。
でも、実は親御さんにできる最も大切なことは、
お子さんが“自ら学びを始めたくなるような環境”を整えること
なのです。
これらは、教えることとは別の力が必要です。
でも、間違いなく子どもの“考える力”を支える関わり方です。
「やる気がないわけではないんです」
「努力もしているんです。それでも結果が出ないんです」
多くの親御さんが、涙ぐみながら私にそうおっしゃいます。
でも、これまでに出会ってきた子どもたちの中に、本当に“やる気がない子”はひとりもいませんでした。
ただ――
“やらされる受験”の中で、「自分のためにやる」ことの意味を見失っていただけなのです。
宿題をこなすこと
テキストを埋めること
点数をとること
それは、勉強の「外側」にすぎません。
子どもが本来持っている
「もっと知りたい」
「わかるようになりたい」
「できるようになりたい」
という内側の火が、灯る……
そのプロセスを、大人が焦らず、手放さず、信じて見守れるかどうかです。
偏差値を動かすのは、本人の
「自分ごと化」
です。
この受験を、自分の未来につながる“道”として歩めるかどうか。
偏差値が上がらない最大の理由は、「勉強量」でも「やり方」でもなく、
“本人が、自分の意志で学ぶ”という土台が築かれていないこと
にあると、私は確信しています。
そして、その土台は「親と子の関係」や「日々の声かけ」「学びへの意味づけ」によって、必ず築き直すことができるのです。
2ndスクールオンラインは、
「やらせる受験」ではなく「自ら学ぶ受験」を支える家庭と子どもたちを応援しています。
偏差値を上げるためのサポートではなく、
“学びの土台”を整えるための指導とカウンセリングを行っています。
「うちの子にもスイッチが入る日がくるのだろうか…」
「がんばっているのに、うまくいかない…」
そんな思いを抱えているご家庭にこそ、知っていただきたい方法があります。
お子さんの「本当の力」を引き出すサポートにご興味のある方は
▶︎ こちらから無料カウンセリングをお申し込みください。
2ndスクールオンラインでは、
この夏、お子さまの「学ぶ力」を育てる特別講座をご用意しました。
【期間】:7月21日(月)〜8月8日(金)、8月18日(月)〜8月22日(金)(全20日間)
【対象】:小1〜小6の受験生とそのご家庭(中高生コースもあり)
【特徴】:学力向上だけでなく、“自分で学ぶ力”を育てる個別サポートつき
✔️ お子さまの成績に伸び悩んでいる
✔️ この夏、本気で変わりたい
✔️ 「勉強が楽しい」と感じられる経験をさせたい
そんな方にこそ、ご参加いただきたい内容です。
学年途中での転塾は原則としておすすめしておりません。
現在お通いの中学受験塾のカリキュラムを尊重しながら、集団授業では理解を深めにくい単元を、1対1で丁寧に指導いたします。
お通いの塾と併用する形で、ご利用ください。