こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
「小学校1年生から公文式に通っています。小学校卒業までに高校の内容に入る予定です。」
これは、2ndスクールオンラインの体験授業に来られる保護者の方からよくお聞きする話です。
公文式は、系統立てて学ぶことができる、とても良い教材です。
しかし、残念ながら万能ではありません。
特に多いのが、
「計算はできるのに、文章題はまったく歯が立たない」というケースです。
実際、2ndスクールの算数体験授業にいらっしゃる生徒さんのほとんどは、「文章題が苦手です」と言います。
では、なぜ計算はできるのに、文章題になると手が止まってしまうのでしょうか?
その理由は、
「問題が読めていない」から。
もっと正確に言えば、
「読んでも意味を理解できていない」 からです。
私たち2ndスクールオンラインでは、
「計算ドリルをたくさん解かせる」よりも、「読む力を育てる」ことに重点を置いています。
その結果、偏差値38だったお子さんが偏差値55まで伸びたケースもあります。
特別な裏ワザを使ったわけではありません。
何十ページものテキストをやらせたわけでもありません。
やったことは、ただ一つ。
あるトレーニングを続けたこと。
それだけです。
その、あるトレーニングについて、これから詳しく解説します。
ここで、実際に2ndスクールオンラインの授業でも使っている、
低学年向けの文章題をひとつご紹介します。
【問題】
みかんが8こあります。
はんぶんをともだちにわけたら、なんこになりますか?
この問題、計算が得意なお子さんならすぐにできるはず…そう思うかもしれません。
しかし、実際はどうでしょう。
「解けない子」の答え方
→ 8こ!(←「8こあります」だけを読んで、そのまま答えてしまう)
「解ける子」の答え方
→ 「はんぶんわける」ということは、ふたりでわけるってことだよね。
→ 8このはんぶんは4こずつだから、自分のところは4こ。
→ 答え:4こ。
「なんでそんな簡単な問題で間違えるの?」
そう思われるかもしれません。
でも、この間違いは「計算ができない」からではありません。
「ことばの意味がわからない」
「文章を最後まで読めていない」
こうした理由で、問題の意図を正しく受け取れていないのです。
この「文章を整理できない」「問われていることがつかめない」という傾向は、
学年が上がっても変わらず見られます。
たとえば、こんな問題でもつまずくことがあります。
【問題】
男子20人の平均点は65点でした。
クラス全体50人の平均点は76点でした。
では、女子の平均点は何点でしょう?
計算そのものは難しくありません。
けれど、「読む力」が弱い子は、この問題のどこから手をつければいいのかわからずにフリーズしてしまいます。
必要なのは、文章を整理する力です。
まず、男子20人の合計得点は
65点 × 20人 = 1300点。
クラス全体50人の合計得点は
76点 × 50人 = 3800点。
男子以外はすべて女子なので、女子全員の合計得点は、クラス全体から男子の合計得点を引けばわかります。
3800点 − 1300点 = 2500点。
女子の人数は
50人 − 20人 = 30人。
2500点を30人で割ると、女子の平均点は
2500点 ÷ 30人 = 約83.3点 です。
このように、
✅ 何が問われているのかを正しく読み取る
✅ 必要な情報を整理する
✅ 「人数」と「平均」と「合計」の関係を理解する
といった力がなければ、計算力があっても正解にはたどりつけません。
「読む力」= 言葉を正しく受け取り、考える力。
これはすべての教科、すべての学びの基礎になる力です。
「読む力」をつけたいなら、文章問題をたくさん解かせればいい。
そう考える方もいるかもしれません。
しかし、読む力とは「文字を目で追うこと」ではありません。
言葉を正しく受け取り、その意味を理解し、自分の中に落とし込む力。
それが本当の「読む力」です。
この力は、問題集を何ページ解いたからといって、すぐに身につくものではありません。
子どもは、最初から
「ちがい」
「のこり」
「はんぶん」
といった言葉の意味を理解しているわけではありません。
何度も聞いて、何度も使って、体験と結びつけながら、少しずつ意味を知っていきます。
たとえば――
「これ、はんぶんこしようか」
「はんぶんって、どういうこと?」
「ふたりでおなじ数ずつに分けるってことだよ」
こんな何気ないやりとりの中で、
「言葉の意味」が身体の感覚とつながっていく。
そして、こうした積み重ねが「読む力」の根っこになるのです。
一方で、現代の子どもたちの生活はどうでしょう。
朝は忙しく、
「早く着替えなさい」
「早くごはん食べなさい」
そんな声かけで一日が始まります。
日中は、保育園や学童で「先生の言うとおりにする」ことが求められます。
そして、家に帰ると、お風呂、夕飯、寝る時間。
気がつけば、親子でじっくり言葉を交わす時間はほとんどありません。
本当は、わかっているのです。
ゆっくり向き合って話をしたほうがいい。
「どう思う?」と聞いてあげたい。
忙しさに飲まれず、笑顔で接したい。
でも、できない。
「早く着替えなさい」
「まだ宿題終わってないの?」
「もう寝る時間だよ」
そんな言葉ばかりが口をついて出る毎日。
仕事もある。家事もある。やることが山ほどある。
ひとつ終わったら、また次のことが待っている。
気づけば、子どもの顔をちゃんと見て話す時間はほとんどなくて、
一日の終わりに「また今日もちゃんとできなかった」と、自分を責めるような気持ちになることもあるかもしれません。
子どもが「考える力」を身につけるには、考える時間が必要です。
「どうして?」「なんでだろう?」と疑問を持ち、
「こういうことかな?」と自分のことばで表そうとする時間。
それを、誰かが受け止め、いっしょに考えてくれる時間。
その経験が、子どもの中に「考えることは楽しい」「伝えることはうれしい」
という気持ちを育てます。
でもそれは、親御さんが、すべて一人で背負わなければならないことではありません。
お子さんに「読む力」をつけてあげたい。
考えることができる子に育ってほしい。
そう願うのは、どの親御さんも同じです。
でも、そのために「もっと頑張らなくては」と、
親御さんがひとりで抱え込む必要はありません。
私は、これまで多くの保護者の方とお話をしてきました。
皆さん、とても一生懸命です。
子どものために、時間もお金も心もたくさん使っています。
それでも、こうおっしゃいます。
「わかっているけれど、できないんです。」
「毎日、精いっぱいで…子どもと向き合う余裕がありません。」
親御さんが「わかっている」のにできないのは、
意識が足りないわけでも、愛情が足りないわけでもありません。
それは、「仕組み」や「環境」が足りないだけ です。
「すべてを家庭の中だけで、自分だけでやろうとしなくてもいい」
お子さんに必要な「考える時間」や「ことばを育てる時間」を、
家庭の外に少しアウトソーシングするという選択肢があることを、ぜひ知っていただきたいです。
たとえば、
■ 忙しい平日はプロに任せて、休日はお子さんとゆっくり関わる
■ 第三者だからこそできる問いかけで、お子さんの考える力を引き出してもらう
■ 家庭では「お子さんにとって一番の味方」として応援することに専念する
そんな形でも、お子さんの「読む力」「考える力」はしっかり育ちます。
2ndスクールオンラインでは、まさにその「アウトソーシング」で、お子さんの「ことばを育てる」お手伝いをしています。
次の章では、その具体的な取り組みについてご紹介します。
「読む力を育てたい」
そう思ったとき、多くの方がまず思い浮かべるのは、問題をたくさん解かせることかもしれません。
けれど、2ndスクールオンラインで私たちが大切にしているのは、 「音読」 です。
計算ドリルでも、文章題の演習でもなく
音読が、「読む力」を伸ばすトレーニングなのです。
でもなぜ「音読」なのでしょうか?
問題をたくさん解いているのに文章題が苦手な生徒さんは、
実は「読む」という行為がとても受け身になっています。
「文章題かぁ、苦手なんだよなぁ…」
そう思いながら、ただ文字を目で追い、
なんとなく出てきた数字を使ってみようとするだけ。
「何を聞かれているのか」「どんな状況なのか」をじっくり読み取ることなく、
とりあえず計算を始めてしまう。
これが、文章題でつまずく子どもたちの、よくある姿です。
一方で、音読は、自分の声で文章を「返す」ことになります。
読みながら、
「これは何の話だろう?」
「どういう意味だろう?」
と、自然と考えながら進めることになるのです。
文章がわからないと、言葉に詰まります。
読みにくいところで、つっかえてしまいます。
その「つまずき」こそが、ことばの理解ができていない場所 なのです。
私たちが行う音読は、いわゆる「国語の教科書の音読」だけを指しているわけではありません。
■ 新聞の記事を読む
■ 算数の文章題を声に出して読む
■ 理科や社会の問題文を声に出して読む
そうした、すべての「ことば」を、自分の声で返すこと。
これが、読む力を育てる「音読」です。
最近のお子さんには、いわゆる「てにをは」(助詞:「が」「を」「に」「で」など)を正しく音読できない(発音していないあるいは発音できない)傾向があります。
「てにをは」が曖昧なままだと、文の構造がつかめず、文脈を理解することができません。
文章題を解く以前に、
「文を正しく読む」ことそのものができていない ーーこれが、文章題が苦手な理由のひとつです。
そこで、2ndスクールオンラインでは、なかなかすらすらと正しく読めない生徒さんの場合、しばらくの間は生徒さんが読んだあとに、講師も音読する という形で取り組んでいます。
講師の音読を耳で聴きながら、テキストを目で追う。
そうすることで、
「これは何の話だろう?」
「どういう意味だろう?」
と考える習慣が、少しずつ身についていきます。
やがて、自分でも正しく、すらすらと音読できるようになっていきます。
最初は棒読みで、ただ文字を追っているだけだった子が、
意味がわかってくると、声に抑揚がつきます。
問いかけの文では語尾が上がり、説明文ではしっかりと言い切る。
まるで、その文章の世界の中に入り込んだかのように、
ことばを「生きたもの」として扱いはじめるのです。
これこそが、「読む力」が育っている証です。
読む力が弱い子は、算数の文章題でつまずきます。
国語と算数以外でも、例えば理科の実験問題も、社会の資料読み取り問題も、
「読めていないから解けない」ことが実はとても多いのです。
逆に言えば、
ことばが育てば、どの教科でも伸びていく。
これが、私たちが中学受験の現場で、何度も目の当たりにしてきた事実です。
特に中学受験の問題は、「考える力」が問われます。
問題文の中には、答えを導くための条件やヒントが、必ず書かれています。
けれど、それは「ここを見てね!」と親切に示されているわけではありません。
読み飛ばしてしまいそうな一行に、ひっそりと隠されている。
それに気づき、意味を読み取り、
「つまり、こういうことかな?」と自分の頭で組み立てていく力。
それこそが、本当に問われている力です。
たとえば、次のような問題があります。
【問題】
あるボートが、川を往復して移動します。
川の流れは一定で、時速2kmの速さで下流に流れています。
ボートは静かな水の上(流れがない場合)では、時速5kmで進むことができます。
下流に向かうときと上流に戻るとき、それぞれかかる時間は何時間でしょうか。
(往復の道のりは、どちらも3kmとします。)
この問題を前にしたとき、
「時間=道のり÷速さ」という公式を知っているだけでは不十分です。
「下流へ向かうなら流れに乗って速くなる」
「上流に戻るなら流れに逆らうから遅くなる」
こうした現実の感覚を、文章から読み取り、自分の経験と結びつけて考えることができるかどうか。
考える力が育っている子どもは、こう整理します。
「ボートは静水時で時速5km。下流に向かえば流れに乗るから5+2=7km/h。」
「上流は流れに逆らうから5−2=3km/hになる。」
「行きは3÷7時間、帰りは3÷3時間。だから合計時間は…」
ここで問われているのは、ただの計算力ではありません。
文章を読んで状況を理解し、そこに“自分の感覚”を重ねられるかどうかが問われるのです。
もちろん、こうした問題にはテキストにも「解法」が載っています。
「下流は速さを足す」
「上流は引く」
そうした公式を覚えれば、手順としては解けます。
でも私は、公式にあてはめるだけでは、学力にはなかなかつながらないと感じています。
「なぜ足すのか?」
「なぜ引くのか?」
こうした問いを立てながら、自分の頭で納得して進める。
その経験こそが、「考える力」につながります。
公式は、道具です。
でも、その使い方を自分で理解し、納得していなければ、
少し状況が変わっただけで混乱してしまう。
だからこそ、「読む力」はすべての教科の土台なのです。
私立中学の先生方は、よくこうおっしゃいます。
「入学してから伸びる子は、ことばがしっかりしている子です。」
「こちらの問いかけを、ちゃんと受け取れる子です。」
知識を詰め込んだ子よりも、
問いを聞き、考え、自分の言葉で返せる子。
そういう子が、「合格して終わり」ではなく、
「入学後も伸び続ける子」 になっていきます。
そのために必要なのは、特別な才能でも、難しい教材でもありません。
■ 「読む」ことを怖がらない
■ 「考える」ことを楽しむ
■ 「わからない」を乗り越えていく
これらの「学ぶ姿勢」を、毎日の音読と対話の中で育てていくこと。
それが、偏差値30から偏差値55へ成績を上げていった子どもたちの共通点でした。
偏差値30を偏差値55にする方法
ーーそれは、「読む力」を育てること。
2ndスクールオンラインでは、音読と対話を柱とした独自の学習設計により、お子さまの「読む力」「考える力」を着実に育てていく支援を行っています。
文字を読むことに抵抗がある、文章題になると手が止まってしまう、言葉の意味を感覚としてつかめていない——
そうしたお悩みを抱えるご家庭に、数多く対応してまいりました。
私たちが重視しているのは、
ドリルや解法テクニックの反復ではなく、
「読んで、考えて、伝える」プロセスそのものを楽しめる子を育てること。
それが、偏差値だけでなく、その先の「伸び続ける力」につながると、私たちは確信しています。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
少しでも皆さまのお役に立てたらと、精一杯心を込めて書きました。
もし、家庭内だけでは難しいと感じられることがありましたら、どうかひとりで抱え込まずにご相談ください。
2ndスクールオンラインでは、
月1回の保護者カウンセリングつきで、お子様の学びとご家庭のコミュニケーションをサポートしています。
なお、学年途中での転塾は原則としておすすめしておりません。
現在お通いの中学受験塾のカリキュラムを尊重しながら、
集団授業では理解を深めにくい単元を、1対1で丁寧に指導いたします。
お通いの塾と併用する形で、ご利用ください。
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