前編では、範囲が広くて対策しようが無いと思われている組分けテストにも、実は対策があるというお話をしました。
組分けテストが不得意な子は、勉強量が足りないのではなく、体験が足りないのです。
つまり組分けテスト対策は、過去の体験を目の前のテスト問題につなげることとなります。「体験の再現」と言い換えることもできます。
そして、体験の再現には、親御さまのお子様に対する「適切なアプローチ」が必須なのです。
「適切なアプローチ」とは具体的にどのようなことでしょう。
はじめに、その「アプローチ」において、やってはいけないことをお知らせします。
▶︎速さと時間
公園で走り回った経験(=遠くまで行くには時間がかかる)を、距離と時間につなげて考えます。
▶︎植木算
ノートの表紙を枠に沿ってシールで飾り付けてみましょう。シールは何枚必要でしょうか。
▶︎植木算(池のまわり)
ホールケーキのイチゴの間にローソクを立てるとしたら、何本のローソクが必要でしょうか。
▶︎牛が移動できる距離・扇形の面積
犬の散歩をしたときに、公園のベンチにリードをくくりつけたことはありませんか。リードがぴんと張った状態で犬が動くとしたら、どんな軌跡を描くでしょう。
たしかにそれぞれ中学受験の勉強につながりますが、注意しなくてはいけないのは、お子様に体験の再現を強要しないことです。
せっかくワクワクしながらケーキにローソクを立てている隣で
「ほら、これは ”池の周りの植木算” と同じでしょ」
なんて声をかけられたらうんざり…!
素敵なお誕生日とバースデーケーキが台無しです。
親御さまの役割は「教えること」ではないと肝に銘じましょう。
最終的に気づくのはお子様です。原則的にはその気づきのために必要な要素を、お子様の手の届くところに「置いておく」だけで十分なのです。
でももし、ここぞ気づきのチャンス! という状況であれば、お子様が自ら気づく前に、ほんの少しだけ踏み込んだ声かけをしてもいいですね。
それがこれからお伝えする「適切なアプローチ」です。
<池の周りの植木算その1>
ホールケーキにローソクを立てているときに
「これ、あれに似てるよね」
とぼそり。
「あれって何?」と聞かれたらチャンスです。
「あれ、あれといえば…あれでしょ ほらなんだっけ、サピでやってたよね、池の周りに…とか」(これ以上は言わない)
<池の周りの植木算その2>
その1で「あれ」に反応を示さなかったら
「イチゴが8個ね イチゴとイチゴの間にローソクを立てようか。そこにローソクは何本ある?足りるのかな…」
と呟きます。
呟くだけです。決して出題っぽくならないように注意しましょう。仮にさらに踏み込んで質問するとしたら「わからないから教えて」モードで聞くのがポイントです。
<両端に木を植える植木算>
親御さまのノート(お子様のノートではありません)を準備します。そして親御さまご自身がお子様の目の前でノートの表紙枠に沿って均等にシールを貼ってみます。
意外と難しいですよ。
何センチ間隔でいくつのシールを貼れば角にぴったりくるのか、たくさん試行錯誤してください。お子様に「どうやったらうまくいくかな」と聞いてみてもよいですね。
もちろん出題ではなく「わからないから教えて」モードで聞いてくださいね。
繰り返しになりますが、体験を知識・経験につなげるために必要な親御さまの態度は、原則的には気づきのきっかけをお子様の側に置いておくだけです。
これは例えですが、お子様に読んで欲しいと思う本があった場合、それを「これ、絶対にあなたのためになるから読むべき!」と親御さまに押し付けられたら、お子様は読みたくなくなるどころか、本をも嫌いになってしまうでしょう
読んでもらいたいならば、リビングでお子様がいつも座る椅子の近くにそっとその本を置いておくのです。
手にとって読むかどうかはお子様次第です。そのときに手に取らなかったとしても、20年後にそのときそこにその本があったことを思い出すかもしれません。
置いておくだけ
とはそういうことです。
実際に物を置いておく場合もありますし、お子様自身にはまったく関係ないという前提で語られる話や考えである場合もあります。
子どもは、周りの年長者(兄、姉、年上の友だち、両親、伯父叔母、祖父母…)が持っているもの、話していることを、本当によく見て聞いています。
押し付けられると拒絶してしまいますが、自分に関係なくそこにあるだけのものを、しっかり吸収して自分の知恵や思想にしていくのが子どもです。
このブログをお読みいただいている親御さまも、ご自身を振り返ってみてください。
いまのお仕事に就いたきっかけのうち、おおもととなったのはどのようなことでしたか。
好きなことや趣味などは、いつ、どのようなことに影響されたものでしょうか。
体験してほしい
わかってほしい
経験して知識にしてほしい
親御さまがお子様に色々言いたくなってしまうのは、お子様に対する愛情が形を変えたもの
つまり本能であり、自然な姿なのです。
ゆえにグッと我慢して待つというのは相当難しいものです。それを十分意識した上で
決して押し付けず、置いておくだけ
この基本的態度を貫きましょう。
組分けテスト対策と聞いて、成績を上げるテクニックのようなものを期待していた方も多いと思います。
確かに、そういったテクニックもあります。でもそれは「点数が取れるだけの人」を作るだけです。(難関校に進学したのち、大人になってから「自分の頭で考えなさい」と言われて苦労している人をたくさん見てきました。)
組分けテストは、体験を経験と知識に、またその先に知恵にしていくことを習慣づけるためのテストだとも言えます。
何より入試問題を作る先生方は、そういうお子様に入学してほしいと願っているわけですから。
組分けテストで得点できないと悩まれている方は、是非実践してみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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