こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
「ご褒美は良いことですか?」
と相談されることがよくあります。
「ご褒美」には、子どもの成長を育む良いご褒美と、成長の芽を詰んでしまう良くないご褒美があります。
今回は、中学受験に取り組む保護者の皆さんへ、「ご褒美」について考察し、解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
Aさんの息子さんは、大手中学受験塾に通っています。
毎日1時間は勉強しないと、宿題が終わりませんし、宿題をやっていかないと塾の授業についていかれません。
そこでAさんは息子さんと
「1時間勉強したら、1時間ゲームをしていいよ」という約束をしました。
息子さんはゲームがしたいので、毎日1時間は勉強するようになりました。
Bさんの息子さんも大手中学受験塾に通っています。
毎日1時間は勉強しないと、宿題が終わりませんし、宿題をやっていかないと塾の授業についていかれません。
そこでBさんは息子さんに
「何時から勉強をはじめる?」と声をかけるようにしています。
たとえば息子さんが「4時から」と言ったら、4時になったら
「勉強を始める時間になりましたよ」とテキストを開き、鉛筆を渡します。
息子さんはまだゲームをしていたいけれど、自分で「4時から」と言ったので、渋々勉強を始めます。
塾の宿題が終わると、Bさんは息子さんに
「すごく集中して頑張っていたね! しかもこんな難しい問題を、すごいね!」と頑張った姿勢を褒めて
「おいしいクッキーを買ってきたの。食べる?」と労います。
さて、AさんとBさんがそれぞれの息子さんに与えたご褒美は、どちらが良いご褒美でしょうか?
AさんのケースとBさんのケースを比べると、Aさんのケースのほうが、お子さんが毎日宿題をやってくれそうですよね。
でも「良いご褒美」はBさんのケースです。
Aさんのケースは、毎日宿題をやるものの、お子さんの成長という観点からするとお子さんの成長の芽を摘んでしまうリスクを孕んでいます
それぞれのケースについて、詳しく解説しましょう。
Bさんは、息子さんに
「何時から勉強をはじめる?」
と声をかけています。
中学受験塾に通っているお子さんは全員
「宿題はやらなくてはいけないものだ」
と知っています。
ですから
「何時から…?」
と質問することで、息子さんが自発的に宿題に取り組むきっかけづくりをしています。
お子さんが宿題を始める時間を自分で決めるということは、今後の学習習慣において非常に大切な要素です。
自分の行動に責任を持ち実行することにつながります。
小学生がゲームを途中でやめて宿題をやるのは、大人にとっては「当然のこと」かもしれませんが、子どもにとっては違います。
非常に努力が要ることなのです。
私たち大人はそれを認識する必要があります。
そして、宿題を終えた息子さんに、難しい問題に集中して取り組んだ姿を褒めています。
「すごく集中して頑張っていたね! しかもこんな難しい問題を、すごいね!」
こう言われたら、どんなお子さんでも嬉しいですよね。
この言葉といっしょに差し出されたクッキーの味は格別でしょう。
このときの息子さんの内側から湧き出る「嬉しさ」こそが、息子さんにとって最高のご褒美なのです。
これを、心理学や教育学の分野では「内発的報酬」といいます。
次へつながるエネルギーとなる、かけがえのないご褒美です。
一方のAさんの場合、
「1時間勉強したら、1時間ゲームをしていいよ」
と約束しています。
実際に親子でこのような約束をしているご家庭は少なくないでしょう。
即効性が高く、ゲームをやりたくてたまらない子どもたちは、1時間勉強することでしょう。
でも、ちょっと考えてみてください。
勉強をしながら、常に頭の隅に「これさえやればゲームができる」という意識がありそうですね。
本当にこれでよいのでしょうか。
勉強したらゲームができる という形のご褒美のことを
「外発的報酬」
と言います。
この外発的報酬には3つのリスクを孕んでいます。
1つめのリスクは、お子さんの
「自発的な学習意欲の育成」
を阻んでしまうことです。
学習をゲームという外発的報酬に依存してしまうと、お子さんが内発的好奇心から学ぶ機会を奪ってしまいます。
2つ目のリスクは、外発的報酬というものは、その報酬がなければ行動しなくなるという性質をもっていることです。
つまり
「勉強すればゲームができる」
ということは、やりたいゲームがなかったら勉強をしなくなるということです。
「うちの子は、ゲームが大好きだから、やりたいゲームがないなんてことはない」
という声が聞こえてきそうですが…どうでしょう?
3つ目のリスクは、価値の誤認です。
「勉強はゲームをするための手段である」
高校生ともなれば、この認識が間違っていることはわかるでしょうが、小学生はまだ子どもです。
勉強が
「ゲームするためにやらなくてはいけないもの」
という位置付けになってしまうと、いつになっても勉強は
「嫌々やるもの」
のままでしょう。
成長の芽をたくさん内包した小学生にとって、この誤認が成長に与える影響は少なくないです。
本来、勉強とは、学習とは
「どうしてだろう?」
「どうしたらもっとよくなるのかな?」
とお子さんの内側から生じる本能的な意欲によってもたらされる行動なのです。
0歳児の行動パターン
目で見る
触ってみる
口に入れてみる
これらの延長にあり、生きていくために必要な行動なのです。
目先の偏差値にとらわれてしまい
「とにかく勉強させなくては!」
となっていませんか?
外発的報酬による学習は、
「勉強する」
という行動に関しては即効性が高く、勉強を始めるきっかけをすぐに提供しますが、
「習得する」
という行動結果については非常に効力が少なく、深い理解や長期的な記憶の形成にはあまり効果がないことがことがわかっています。
塾の宿題にしても、模試の対策にしても、学びの基本は
「お子さんが主役」
であることです。
お子さんに「勉強させる」のではなく、お子さんが自ら「勉強する」のです。
そのためには、
「勉強したらゲームができる」
という外発的報酬はデメリットにはたらきます。
Bさんのように、お子さんの自発的な取り組みのためのきっかけを提案し、そのプロセスを見守り、褒めることで、間接的にお子さんの
「内発的報酬」
を支えることが大切です。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
私にできることが、少しでも皆さまのお役に立てたらと、精一杯心を込めて書きました。
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