「国語の文章読解には法則があります。
それに従って線を引いたり印をつけたりしながら読むことで、国語の苦手を克服できます。」
と、解法パターンを当てはめていく攻略法を勧める国語講師の先生は多いですね。
でも、ほとんどのお子様にとって時間の無駄です。
なぜなら、解法パターン攻略法の前に行うべき、必要かつ重要なメソッドがあるからです。
今回のブログでは、このメソッドをご紹介します。
このメソッドは、2ndスクールオンラインで、国語の偏差値50未満の生徒さんを対象に行っているものです。
入塾当初、国語の偏差値35だった生徒さんが、このメソッドで偏差値50まで上がりました。
是非、このメソッドを家庭学習で実践しても、国語の偏差値UPを図りましょう。
例えば、
「ーーーは、どんな人物ですか?」
という設問の場合には、下のような解法にあてはめて解くことになります。
[手順1]
その人物に関する具体的なエピソードに線を引きます。
(例)線を引く箇所
・だから、僕は仕切り板をにらんで言った。
「うそつき」
じゅんちゃんは「はあ?」と聞き返した。板に隠れていても、きょとんとした顔が思い浮かんだ。
・でも、じゅんちゃんは怒り返さなかった。ひょっとしたら泣きだすだろうかとも思っていたが、はなを啜る音も聞こえてこなかった。
かわりに、あははっ、と笑った。
[手順2]
エピソードを抽象化します。
(例)
・だから、僕は仕切り板をにらんで言った。
「うそつき」
じゅんちゃんは「はあ?」と聞き返した。板に隠れていても、きょとんとした顔が思い浮かんだ。
→僕が怒ってもきょとんとしている
・でも、じゅんちゃんは怒り返さなかった。ひょっとしたら泣きだすだろうかとも思っていたが、はなを啜る音も聞こえてこなかった。
かわりに、あははっ、と笑った。
→いつも笑っている。
[手順3]
エピソードに合わせて人物像を表すまとめ言葉を考え
「ーーーーな人物」と答える。
(例)
いつも無邪気でにこにこ笑っている人物
このようになります。
(出典:「もうひとつの風」より「じゅんちゃんの北斗七星」 重松清 著 文藝春秋)
ところが
国語で得点できない子は、解法の適用以前で躓いています。
そもそも文章が「読めていない」ので、どこに線を引くべきなのかわかりません。
文章読解の文字の多さに圧倒されて、読んで理解することを無意識に放棄しています。
「あー わからない」
と、焦りながら文字を目で追っているだけ。
本人は一生懸命読んでいるつもりでも、まったく読んでいないに等しいのです。
授業では、先生に言われたとおりに線を引き、印をつけてみるものの、
なぜそこに線を引くのかすらわかりません。
下図はこちらからダウンロードできます。A4で印刷してお使いください。
【プラクティス1 はじめての音読】
はじめに、お子様が音読します。
音読にはポイントが3つあります。
①なにがどうした
「なにが」「どうした」(主語と述語)を意識して、丁寧に読みます。
②アニメ制作のごとく
アニメを自作し、場面やキャラクターを設定して、それを動かしセリフを喋らせるかのように、文章に書かれている内容を、頭の中でイメージします。
③パッチを当てる
音読していて、もし、わからない言葉があったら印をつけておきます。
国語が苦手なお子様は、
びっしり文字で埋まった問題用紙を通して、国語に対するコンプレックスに直面します。
あぁ いやだなぁ わからないなぁ
こんな気持ちで取り組んでも、良いことありません。
「焦らなくてよいので、この3つの方法で丁寧に読むと良いのですって。」
と声をかけてあげてください。
設問があろうがなかろうが、お子様自らが進んで、かつある程度楽しんで文章を読む姿勢づくりが大切です。
【プラクティス2 語彙確認】
プラクティス1の③で印をつけた「わからない言葉」を、親御さまが説明します。
「いつも何気なく使っている言葉だけど、なんて説明すればよいのだろう?!」
と戸惑うかもしれません。
でも心配はいりません。
スマホで調べて
「何て説明すればよいかわからなかったけど、スマホの国語事典にはこう書いてあるよ」
と親御さまも一緒に学ぶ気持ちで取り組みましょう。
わからない言葉に印をつけるということは
「わからない言葉は、学びのチャンス」
というお子様に対するメッセージです。
親御さまが明確に説明できない言葉もあり、そういうときは調べる。
「わからないということをしっかり受け容れる」
「わからないことをわからないままにしない」
これが学びにおける正しい姿勢です。
親御さま自身の行動をもって、これを示すことができます。
【プラクティス3 朗読を聴く】
親御さまが文章を朗読します。
それをお子様が聴きます。
上手に読もうと気負う必要はありません。
途中で多少言葉に詰まることがあっても、言葉の間違いがなければ大丈夫です。
正しい発音とイントネーションを心がけ、心をこめて、一生懸命読みましょう。
お子様が音読すると、文字の区切りを誤って、単語を正しく認識できないことがあります。
親御さまが朗読するのを耳で聴くことで
「あ、それならわかる」
となることが多いです。
また、朗読を聴くことで、内容をより正しくイメージしやすくなります。
物語文は特に、台詞の朗読から、登場人物の心情理解が深まります。
説明文・論説文も物語文も、内容理解の第一歩は「心で聴く」だと私は思います。
【プラクティス4 朗読】
最後にお子様が文章を朗読します。
もし間違った読み方をしている箇所があったら指摘します。
指摘といっても、叱らないでくださいね。
その部分だけ親御さまが正しい言葉で読み直すだけで十分です。
笑顔も忘れずに。
これは、プラクティス1〜3 の総まとめです。
お子様自身が「心で読む」のです。
プラクティス1で読んだときとの違いが、ささやかな達成感と自信につながります。
「よく読めてるね!」
とたっぷり褒めて差し上げてください。
ここまでできていれば、たとえ間違った解答をしたとしても
「どこに注目したの?」
と尋ねてみると
「え? あ、そうか」
と自ら間違いに気づくことが多いです。
このメソッドに取り組むにあたり、2つだけ注意点があります。
1つ目は、親御さまがこのメソッドを強要しないこと。
嘘も方便です。
「塾の保護者会で、国語の先生に”必ず親が一緒に取り組むように”って言われたんだけど、私がやってもいい?」
くらいがちょうどよいです。
2つ目は、うまくいかなくてもお子様を叱らないこと。
すぐに効果が出ないこともあります。
国語も英語と同じく「語学」だと思ってください。
すぐに出る子もいる一方で、なかなか効果が上がらない子もいて、千差万別です。
でも決して焦らないでください。
目に見える効果はなくても、見えないところで確実に習得できています。
何度か繰り返し取り組むうちに、いつの間にか、しっかり文章が読めるようになりますので安心してください。
2ヶ月くらい様子を見てくださいね。
それでも何の効果も見られなかった場合は、塾の先生に相談するとよいです。
このメソッドの目的は、国語の成績を上げることですが、それを下から支えるもう1つの目的は、
お子様の
「言葉に対する興味関心を育むこと」
です。
このメソッドにおける4つのプラクティスのなかで、一番の要となるのが
【プラクティス3 朗読を聴く】
です。
ここでお母様が関わることが、
文字の多さに圧倒され閉ざしてしまった「言葉への扉」を、再び開くきっかけになるのです。
お子様にとって、「お母様の声」は唯一無二の音であり、言葉です。
生まれて初めて聞いた音・言葉であり、
いままでに一番たくさん聴いてきた音・言葉だからです。
「お母様の声」で、正しい発声・発音・イントネーションをもって文章を読むことで、その言葉がお子様の心にくっきり刻まれます。
しっかり心に刻まれた言葉だからこそ、情景を思い描き、登場人物に感情移入できるようになります。
言葉を心で捉えるこの経験が、言葉に対するさらなる興味関心を育みます。
もしお母様以外、例えば塾講師や家庭教師がこのメソッドを行う場合は、これこそ腕の見せ所ですよ。
教科問わず、子どもの成績を上げてくれる先生とは、子どもの心に響く話ができる先生です。
そして、こういう先生は、間違いなく子どもに人気があります。
このメソッドを続けるうちに、お子様はさまざまな言葉を自分のものにしていきます。
自分の言葉が増えていくと
【プラクティス4 朗読】
に変化がみられるようになります。
朗読するときに、ある程度先を予測して文章を読み進めることができるようになるからです。
グンと読むスピードが速くなりますよ。
皆さん大人の方は、文章をどのように読んでいますか?
漢字とひらがな・カタカナの文字を目で追っているだけではなく、
いくつかの文字のまとまりを、意味のある言葉として認識して、
次へ繋がる言葉を予測しながら読んでいるでしょう。
その言葉と過去の経験等とを照らし合わせて、考えをめぐらすこともあるでしょう。
このメソッドの「プラクティス1 音読」は、文字をスムーズ読むためのトレーニングのようなものです。
その後「プラクティス2」「プラクティス3」と進むうちに、読んだ文字が、言葉(=意味があり、思考をもたらすもの)となっていきます。
「プラクティス4」になると、文字を目で追いながら、言葉(=意味があり、思考をもたらすもの)として扱えるようになります。
ただ文字を追っていたプラクティス1とは違って、読みながら「各段落の内容」と「作者が伝えたいこと」を把握できるようになるのです。
ここまで到達できたら、
文章読解の法則や解法パターンの出番です。
他にもいくつか読解の法則や解法パターンがあります。
ここでの詳しい解説は割愛しますが、
国語の解法に関連する本を2冊ご紹介します。
中学受験国語文章読解の鉄則
増補改訂版
著:井上 秀和
エール出版社 YELL books
https://honto.jp/netstore/pd-book_27440026.html
田代式 中学受験 国語の「神技」
著:田代 敬貴
講談社 BOOK倶楽部
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000185847
これらを活用して、
「どのあたりに注目する?」
「どんな答え方が望ましい?」
と、より開かれた問いかけをして、記述問題にも対応できるように導いていきましょう。
いかがでしたでしょうか。
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