こんにちは
2ndスクールオンライン教室長の
奥田みほです。
今回は2ndスクールオンラインのS講師と教室長との対談です。
S講師は、有名なピアノコンクールの出場・入賞経験がある音楽好きな塾講師です。
最難関校受験対策コースを担当しています。
一方、教室長は
小学1年生の時にピアノの練習を怠ったことを母親に叱られて家出。
ピアノに一度は挫折したものの
大人になってからピアノを再開し、自分のためにグランドピアノを購入するほどの熱心なピアノ愛好家です。
この2人が、
「ピアノを習えば成績が上がるのか?」
について真剣に対談します。
どうぞお楽しみに!
教室長:
「ピアノを習うと成績が上がる」
中学受験生保護者向けの雑誌で、こんなタイトルを見たことがあります。
ピアノを習えば成績が上がりますか?
S講師:
そんなことあるわけないでしょう 笑
ピアノを習っても、成績は上がりませんよ。
教室長:
バッサリ斬りましたね 笑
S講師:
そもそも、
勉強というのは
「これをやれば、必ずこれが手に入る」
そんな簡単なものではないでしょう
S講師:
教育雑誌に「受かる子の家には地球儀がある」と書いてあった。
「だから、合格するために地球儀を買った!」
全くダメダメです。
地球儀を買ってもあなたのお子様の成績は上がりませんよ。
教室長:
子どもの教育が「消費活動」化してくるのは危険ですね。
S講師:
まったくそのとおりです。
S講師:
塾のサイトや入塾案内を見ると
「入塾したら成績が上がります」
と言っているように聞こえるかもしれません。
入塾したら成績が上がるのではないんですよね。
入塾して、お子様が
「できた」をたくさん経験して
「もっとやってみよう」
という気持ちになるから成績が上がるんです。
「できた」の経験から
「もっとやってみよう」になるプロセスや形には、個人差があるもの。
誰しも同じタイミングで交換条件のように手に入るはずと、親御さんが勘違いすると大変です。
他のお子様と比べて
「どうしてうちの子は成績が上がらないの?!」
と親御さんが焦り、お子様を追い込むことになります。
教室長:
お子様を信じて、待ってあげてほしいですね。
私たちも全力でご支援しますから。
S講師:
はい 全力で支援します!
教室長:
ピアノを習うと…という話に戻りますが
「ピアノを習うと成績が上がるって本当ですか?
もしそうならば習わせようと思って」
と真顔で相談されたことがあります。
ピアノと学習の関係について
もう少し掘り下げてみましょう。
どうして
「ピアノを習うと成績が上がる」
という話になるのだと思いますか?
S講師:
実際に、難関校に通う生徒はピアノ率高いですよね。
東大生の約50%がピアノを習ったことがある。
約70%がピアノを含めた音楽の習い事をしたことがある(している)と言われています。
でもね、全然違うんですよ
ピアノを習ったことがある人のうち、
成績が上がらない習い方をしている人もいます。
当然、その人たちは東大生にはなれません。
教室長:
「成績が上がらないピアノの習い方」
なんか変なハウツーですが
どういうことでしょう?
S講師:
「ピアノの習い方」とは、つまり親子の関わりとも言い換えられます。
親が習わせるわけですからね。
ピアノは、習い事のなかでも特に、家での練習が必要ですし。
正しい親子の関わり方=「正しいピアノの習い方」をしていれば、成績が上がる可能性もあるけど、
間違った親子の関わり方=「間違ったピアノの習い方」をしていると、ピアノは上手くならないし、成績はどんどん下がります。
教室長:
正しい親子の関わりとはつまり…
S講師:
MaxCですよ
促す
褒める
強制しない
叱らない
これらができていれば、ピアノの習得が学業にレバレッジ効果をもたらします。
教室長:
レバレッジ効果ですか!
Sさん:
そう レバレッジ効果。
…ピアノを習うって、簡単なことではないですよね。
まず、楽器が必要。
たとえ電子ピアノでも、購入するとなるとそれなりの出費と、家でどこに置くのか問題になります。
ましてやグランドピアノは、さらに大きく重たい買い物になりますね。
ピアノが弾ける人がいない家庭だと、習い始めるのに相当な覚悟が要ります。
そして演奏。
叩けば音が出ますけど、
ある程度の曲が演奏できるようになるには、
つまらない基礎練習を、毎日延々とやらなくてはいけない。
ハノン(※)は、本当につまらないですよね!
(※ハノン ピアノ演奏のための指のトレーニング教本)
教室長:
ハノン…!!
(↑ハノンが嫌いで家出した人)
S講師:
ハノンがやっかいなのは
あんなにつまらないのに、
みんなが大嫌いなのに、
毎日やると、ちゃんと力になることが実感できちゃうこと。
逆に一日でも怠けると、
「あれ?弾けない!」
となる。
だから、嫌だけど…ハノンは本当に大っ嫌いだけど、ハノンをやらない自分はもっと嫌いになる。
教室長:
そうなんですよね!
一日怠けると、自分がわかる
二日怠けると、家族がわかる
三日怠けると、近所の人もわかる
S講師:
この、みんなが大嫌いなハノンを、お子様が毎日欠かさず弾けるように、
親御さんが
褒めて
強制しないで
叱らないで
うまく導くことができれば、
きっと学業においても、同じようにお子様を導き、成績を上げることができるわけです。
さらに、
ハノンのように、「楽しくないけれどやったほうが良いこと」をきちんとこなす経験は、受験勉強に必要な資質を育てます。
教室長:
サピックスの基礎トレは、まさにハノンです。
S講師:
ですよね!
教室長:
入試はコンクール。
S講師:
そのとおり!
誰にも動かせない、決まった期日に合わせて、練習や学びを積み上げていく。
いつ、なんどきでも、その期日の手前で
「仕上がった」
ということはあり得ない。
当日ギリギリまで、
自分の極限まで練習を積み上げていくところは、
入試とコンクールに共通するところですね。
入試もコンクールも、
またそれに向けての勉強と練習も、
基礎トレとハノン以上に
正しい親子の関わりが重要となります。
教室長:
具体的に教えてください。
S講師:
間違った関わり方でよくあるのが、
「ほら、また間違えた!」
「どうして同じところでミスするの?!」
ピアノは
「間違えないように弾かなくちゃ」
という気持ちで弾いたのでは、縮こまった味気ない演奏になってしまいます。
少しくらい間違っても(間違って良いという意味ではないが)、気持ちをのせて曲の最後まで弾き切ることが大切です。
正しい関わり方は、
一曲ちゃんと弾き終えて、
「気持ちがこもったすごくいい演奏だったね!」
とたくさん褒めてあげてから、
「この部分を繰り返し練習するともっと気持ちよく弾けるよ」
とミスタッチ(間違った音を出す)しやすいところを、反復練習します。
塾の宿題や過去問も同じですね。
親御さんがお子様のとなりで仁王立ちして、問題を解くたびに
「ほら、ここで計算ミスしてる」
「なんでこんな式の立て方をしているの」
といちいち怒っていては、集中して学習できません。
S講師:
一度は、お子様のペースで最後まで解き切らせることが大切です。
途中で手が止まったら、そこではじめて
「何か困ってる?」
と声をかけます。
先回りして、解法を教えてはいけません。
何に困っているのか、お子様が言葉にするまで待ってあげることが重要です。
お子様が、何に困っているのかを言葉にできても、やはり解法を教えてはいけません。
その困難の糸をほどくためのヒントだけを渡します。
「これに似た問題を、塾で解いたことある?」
「聞かれていることは何かな?」
こんなふうに声をかけます。
手を止めることなく最後まで解き切れたら
「ひとりで全部解けたね」
と、正答・誤答にかかわらず、自力で解いたことをたくさん褒めてあげましょう。
採点するのはその後です。
そして、間違った問題があったら、
「惜しかったね!」
と一緒に悔しがります。
「次は絶対に間違えないぞ!」
という気合をもって、どうして間違えたのか、今後どのように気をつけたら良いのか
お子様自身が自分で考えられるように促します。
教室長:
ピアノを習うことと、受験勉強は本当に似ていますね
S講師:
私が「レバレッジ効果」と言ったのはそういうことです。
楽しくないけど、やらなくてはいけないからやる。
小さな成功体験が得られる。
大きな本番(入試やコンクール)の前の、小さな本番(模試や発表会)で、たくさんの小さな失敗と克服を経験できる。
ピアノと学習の間で、相乗効果が得られるんです。
つまりレバレッジです。
シナジーとも言えるかな。
それに、正しい親子の関わりでピアノや楽器の習い事をしている人は、段違いに本番に強いですね。
教室長:
まとめると
たしかにピアノを習うことで得られる経験は受験に活かされる。
ただし、
両方とも正しい親子の関わりの上に成り立っている。
ということですね。
S講師:
そのとおりです。
ピアノを習えば成績が上がる
その考え方は、あまりにも短絡的です。
そういう考えの方は
「ピアノを習えば」ではなく
「ピアノを習わせれば」という言い方をする傾向にありますね。
そもそも、親が子どもをコントロールしよう、コントロールできると思っているところが間違っています。
お子様は親御さんの所有物ではありません。
ひとりの人間として生きて、いずれ親の能力を超えていく存在です。
「子どもは、親が思っていることの逆を行く」
と考えているくらいがちょうどよいですよ。
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