こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
6月に入ると、
「やはり中学受験はやめようかと思っているんです…」
というご相談が急増します。
中学受験塾では2月に新学年が始まり、いまは新学年スタートから5ヶ月目にあたります。
春期講習やゴールデンウィークの特訓講座に参加しても成績が伸びず、学年が上がるほど問題の難易度が上がり、解き直しノートのページ数だけが増えていく――。
その焦りと不安、お気持ちは痛いほどよくわかります。
そんな中、親御さんからはこんな言葉も聞かれます。
「やはり中学受験は、地頭が良い子が取り組むものなのでしょうか。うちの子には難しいかもしれないと感じています。」
「地頭」という言葉は、中学受験に関する話題やインターネット上で頻繁に登場します。
では、そもそも「地頭が良い」とはどういうことでしょうか?
「中学受験は地頭の良い子が取り組むもの」という説は、本当に正しいのでしょうか?
次章では、この疑問にじっくり向き合ってみましょう。
中学受験を考えるとき、多くの保護者の方が一度は「地頭(じあたま)」という言葉に引っかかります。
たしかに、「地頭が良くないと中学受験は難しい」という声もあちこちで見聞きします。
では、「地頭が良い子」とはどんな子なのでしょうか?
「地頭」は明確な定義がある言葉ではありませんが、受験業界では主に次のような力を指すことが多いです。
つまり、
「見たことがないものでも、筋道立てて考え、自力でなんとかしてしまう子」
という印象が、「地頭が良い子」のイメージに近いかもしれません。
ここで誤解してはいけないのは、こうした「思考の柔軟性」や「理解の速さ」は、生まれつき決まっているものではない、ということです。
たとえば、次のような環境や働きかけによって、子どもの思考力は大きく変わっていきます。
こうした積み重ねによって、あとから「地頭が良さそうな子」になっていくことは十分にあるのです。
たとえば、同じ「時計の針の動きを扱う問題」に取り組んだとしても…
一見、前者の子の方が「地頭が良さそう」に見えるかもしれません。
でも実際には、後者の子が少しずつ「絵を描けば関係が見えそう」と、試行錯誤する経験を重ねることで、半年後には立場が逆転することもよくあります。
次章では、
「成績が伸びない=地頭の問題」
と感じてしまう背景について、もう少し掘り下げてみましょう。
「解き直しノートを毎日やっているのに、テストで点数が取れない」
「先生に言われた通りに勉強しているのに、クラスが上がらない」
「模試の成績がずっと横ばいで、本人も自信をなくしている」
そんなとき、親として感じるのが、「やっぱりうちの子には、向いていないのでは…」という疑念です。
そして、その“向いていない理由”として浮かびやすいのが、「地頭の問題」なのです。
中学受験は、比較の世界です。
志望校合格のためには、他の受験生より良い点を取らなければならず、模試やクラス分けなど、常に順位や偏差値がついて回ります。
そんな中で、
「どうしてこの子は伸びないんだろう」
と考えたとき、多くの親御さんが“本質的な原因”を探そうとしてしまいます。
「地頭さえ良ければ、同じ解き直しでももっと早く伸びるのでは」
「この子には、そもそも“考える力”が足りないのでは」
「やっぱり中学受験に向いていないタイプなのかも」
これは、保護者として自然な感情です。
子どもを責めるのではなく、
「この状況に意味を見出したい」
という親心の表れでもあります。
ただし、その「意味づけ」が子どもの未来を狭めてしまうことがあるのも事実です。
たとえば、成績が伸びない時期に
「やっぱりこの子には地頭が足りない」
と決めつけてしまうと、それ以降のあらゆる判断に影響を与えかねません。
こうして、知らず知らずのうちに“チャレンジしない選択”が積み重なり、子どもの可能性を狭めてしまうのです。
成績が伸びないとしても、それは「能力が足りない」わけではありません。
中学受験の学習内容は、小学生にとって非常に高度です。
抽象的な思考や複雑な文章の読解、情報の整理と活用など、本来は中高生で学ぶような力を求められることもあります。
たとえば…
こうしたケースでは、「考える力」や「地頭」が足りないわけではなく、中学受験という舞台で“戦う準備”がまだ整っていないだけなのです。
私がこれまで見てきた中でも、
「夏を境に急に伸びた」
「6年秋から急に読解ができるようになった」
といったケースは、少なくありません。
大人が思っている以上に、子どもは柔軟で、変化の可能性を秘めています。
そして、変わるために必要なのは、「この子は伸びる」と信じて待つ大人のまなざしです。
次章では、「地頭が育つ子」と「そうでない子」の違いについて、さらに深く掘り下げていきます。
ここまで読んでくださった方は、
「地頭の良さ=生まれつき決まるものではない」
という視点に、共感していただけたのではないでしょうか。
では、「地頭が育つ子」と「そうでない子」には、どんな違いがあるのでしょうか?
それは、“能力そのものの差”ではなく、“能力を育てる環境と関わり方”の違いなのです。
たとえば、次のような家庭環境では、「自分の頭で考える」ことが日常の一部になっています。
こうした日々の積み重ねが、思考の土台を育てていきます。
まるで、目には見えない「思考の筋肉」を鍛えているようなものです。
中学受験の問題は、表面上の知識では太刀打ちできないものが増えていきます。
特に、記述問題や思考力問題では、
といった、「思考体力」とも呼べる力が必要になります。
これはまさに、「地頭が良さそうな子」が得意とする領域です。
でも、だからこそ強調したいのです。この力は、後天的に育てることができるということを。
思考力は、筋肉と同じです。
「持っているか」ではなく、「使っているか」が問われる力です。
だからこそ、
このような学習ばかりが続くと、思考力は伸びづらくなってしまいます。
もちろん、基本問題を解いて「わかる!」「できた!」という小さな成功体験は大切です。
でもそこに、「なぜ?」「どうして?」を問い直す習慣があるかどうかで、後伸びする子になるかどうかが大きく変わってくるのです。
目の前のお子さんが、
「地頭が育ちやすい関わり」
を受け取れているか。
それが、いま不安を感じている保護者の方にこそ、見つめ直していただきたい視点です。
いまは、まだ「本気で考える」機会が足りないだけかもしれません。
いまは、まだ「どうしてそうなるのか」を言葉にする習慣が育っていないだけかもしれません。
いまは、まだ「考えるって面白い!」と思える体験が不足しているだけかもしれません。
“今できない=一生できない”ではありません。
中学受験を通して、「地頭が育っていく子」は、確かに存在するのです。
次章では、「地頭を育てる親の関わり方」について、具体例を交えて紹介していきます。
ここまで、「地頭が良い子」とは何か、そして「地頭は育てることができる」という視点をお伝えしてきました。
では実際に、「地頭を育てているご家庭」では、どのような声かけや関わり方がなされているのでしょうか?
この章では、保護者の方が明日からでも取り入れられる具体例を交えて、「地頭を育てる」関わり方のヒントをお届けします。
勉強を教えていると、どうしても「正解」を教えたくなってしまうものです。
でも、こうした言葉が続くと、子どもはだんだん「考えること」をやめてしまいます。
それよりも大切なのは、「問い」を通して、子どもの思考に火をつけることです。
たとえば、次のような声かけを意識することで、子どもの思考はぐんと伸びやすくなります。
成績が伸びる子と、伸び悩む子の違いは、「わかったつもり」で終わるかどうかにも現れます。
「できた?」「わかった?」と聞かれて、「うん」と答えるだけの学習では、深い理解にはつながりません。
それよりも、「じゃあ、説明してみて」と促してみてください。
「なぜその式になるの?」
「図にするとどうなる?」
と、自分の言葉で説明する経験を積ませていくことが、思考力を一段階上へと引き上げてくれます。
思考力は、親が与えるものではありません。
でも、親の関わり方が、子どもの思考力の育ちを左右することは間違いありません。
「なんでこんな問題もできないの?」ではなく、
「いま、どこで止まっているんだろう?」と考えてみる。
「また間違えた!」ではなく、
「今回は、どこまでは正しく進めたんだろう?」と見てあげる。
この視点の変化が、「地頭を育てる家庭」と「そうでない家庭」の分かれ道になるのです。
これまで数百人以上の親子を見てきましたが、目に見えて「できる子」だったかどうかと、最終的に大きく伸びたかどうかは、必ずしも一致しませんでした。
最初は全然解けなかった子が、半年後には別人のような解き方を身につけている。
「話を聞いていない」と思っていた子が、実は人一倍深く考えていた——。
そんな変化の瞬間を、何度も見てきました。
子どもは、環境や関わり方によって、大きく変わります。
私が何よりも信じていることがあります。
それは、子どもには生まれながらにして、「よりよく生きたい」「もっとできるようになりたい」と願い、行動する力が備わっているということです。
この力は、誰にでもあります。
たとえ今は表に出ていなくても、否定や失敗の経験で一時的に眠っていても、その芽は確かに生きています。
だからこそ、「地頭がない」と決めつけてしまうことは、とてももったいないのです。
子どもがつまずいたとき。
投げ出しそうになったとき。
勉強を前にして、不機嫌になったとき。
そのときに必要なのは、「もっと頑張れ」という叱咤ではなく、「あなたなら、きっとできるようになるよ」と伝えるまなざしです。
子どもが「自分はできるかもしれない」と思えるようになるには、
まず、周りの大人が「この子はできる」と信じることが先です。
その信じる力が、子どもを支え、歩き出す原動力になります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ただの受験対策ではなく、
子どもを信じ、自ら「よりよく生きたい」と願う心と力を育てる日々の関わりのヒントとしてお役に立てたらと、精一杯心を込めて書きました。
もし、家庭内だけでは難しいと感じられることがありましたら、どうかひとりで抱え込まずにご相談ください。
2ndスクールオンラインでは、
月1回の保護者カウンセリングつきオンライン個人指導で、お子様の学びとご家庭のコミュニケーションをサポートしています。
なお、学年途中での転塾は原則としておすすめしておりません。
現在お通いの中学受験塾のカリキュラムを尊重しながら、
集団授業では理解を深めにくい単元を、1対1で丁寧に指導いたします。
お通いの塾と併用する形で、ご利用ください。
▼ お子さまのタイプに合わせた学習サポートにご興味のある方へ
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