うちの子、ひとの話を全然聞いてないんです…
こんなご相談をよく受けます。特に男の子の親御さまが多いですね。
いわゆる「だから言ったのに!」事案です。親御さまの眉間に皺が寄り、お子様はふてくされて口を尖らせる。できれば避けたいシーンです。
どうすれば、お子様が話を聞けるようになるのでしょう。
天気予報では午後から雨です。朝、学校へ行こうとする子どもに
「傘を持っていきなさい」
と言いました。
「うん」
と小さな返事が聞こえた気がしました。でもふと見ると、玄関には子どもの傘が。
そして下校時刻、子どもがずぶ濡れで帰宅。
「あー!(怒)だから言ったのに!なんで傘を持っていかないの!」
皆さんもご経験があるのでは…
この事案を、もう少し研究してみましょう。
「傘を持っていきなさい」と親御さまが言ったときのシーンを検証します。
朝7時台、テレビのニュースが流れています。テレビの音声だけを聞きながら、親は朝食の後片付けをしています。
ニュースが終わり天気予報の時間。気象予報士が「午後からは雨になるでしょう…」と。
親は流し台で食器を洗いながら、子どもに背を向けたまま
「傘を持っていきなさい」
(子どもが起きるのがいつもより10分遅かったから、あと3分で食器を洗い終えないと会社に遅れてしまう…急がなくちゃ!)
子どもは基礎トレをしながら
「うん」
(流れる水の音に親の声がかき消され、実は何を言っているのか聞こえていないが、とりあえず返事をしないと叱られるから返事をしておく)
基礎トレが終わったら、もう出かける時刻。毎朝、学校の二つ手前にある交差点で友だちが待っていてくれるから急いで出かけなくちゃ。
あぁ こんなふうにして傘を持たずに出かけてしまったんですね。
でももし、こうだったらどうでしょう。
朝7時台、テレビのニュースが流れています。テレビの音声だけを聞きながら、親は朝食の後片付けをしています。
ニュースが終わり天気予報の時間。気象予報士が「午後からは雨になるでしょう…」と。
親は流し台の蛇口を止めて振り返り、呼びかけます。
「ねえ、ひかるくん」
基礎トレをやっていたひかるくんは顔を上げます。
「なあに?」
「今日は午後から雨になるんですって」
「そうなの?」
「降水確率80%ですって。長い傘と折り畳み傘のどちらがいいかしらね?」
「80%だったら長い傘かな」
いかがでしょうか
おそらく長い傘を持って学校へ行ったことでしょう。
いったい何が違うのでしょう…
そうです。はじめの事例では、親子とも何かをしながら発話しています。
一方で2つ目の事例では、
親は流し台の蛇口を止めて振り返り、呼びかけます。
「ねえ、ひかるくん」
基礎トレをやっていたひかるくんは顔を上げます。
「なあに?」
はじめに、それまでやっていたことの手を止めます。そして話し始めるときに、相手の名前を呼び、お互いにアイコンタクトをとっています。
会話は話し始めが肝心。何かをしながらいきなり話すのは独り言です。それでは相手に届きません。
そして、お子様に話しかけられたときの親御さまの反応がそのまま、親御さまが話しかけたときのお子様の反応になります。
つまりお子様が話しかけたときに、何かをしながら生返事したり、「忙しいから後にして」と拒絶すると、お子様も親御さまに話しかけられたときに同じように生返事で済ませたり、返事をしなかったりするものです。
うちの子、ひとの話を全然聞いてないんです…
と言う前に、自らの言動を振り返ってみましょう。何かをしながらになっていませんか。
そうです。解決策は「ながら」を止めることです。
お子様が話を聞いていないのではなく、親御さまがきちんと話せていない。話が伝わる姿勢になっていないのです。
これを習慣にしましょう。
とは言っても…
という声が聞こえてきそうです。そうですよね。
親御さまの気持ちは理解できますし、共感できますが、さらにもう一歩踏み込んだ話をさせてください。
子育てをしていると、親御さまは(特にお母様は)家事・育児・仕事とやるべきことが多種多様で本当に忙しく、マルチタスクでないとこなせません。手を止めてお子様の顔を見て話すということは、決して簡単なことではなく、相当な意識と努力が必要です。でも敢えてその努力をしていただきたいのです。
なぜならば、子どもの成長において、9〜12歳の中学受験期が、その子の人生を形成するに非常に大切な時期だからです。
子育ては9歳までです。お子様は10歳のお誕生日を迎える頃に少しずつ親御さまの手を離れる準備を始めます。(まるで雛鳥が羽ばたく練習をして巣立ちの準備をするように)。ですから10歳を過ぎたら、親御さまはお子様をひとりの人として接する努力をしてください。
親御さまが仕事において上司に急に話しかけるときに、何かをしながら顔も上げずに話しかけたりしないでしょう。
「急ぎのご報告があるのですが、少しお時間をいただけますでしょうか」
と相手の目を見て声をかけますね。お子様に対してもそれと同じように接します。
日々の慌ただしさに翻弄されているうちに、お子様はあっという間に、そしてあたかも自分だけで育ったかのように成長します。
脅すような言い方をするようですが、親子の時間は有限で、過ぎてしまってからはなかなか取り戻すのが難しいものです。中学受験に二人三脚で取り組むこの時期が、お子様としっかり向き合える最後の時間。なにかをしながら、なんとなく過ごしてしまったら…失うものは小さくありません。
繰り返しになりますが
是非、これを習慣にしましょう。
お読みいただきましてありがとうございます。
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