6年生サピ保護者の皆さま
GS特訓お疲れ様でした。
濃い3日間だったのではないでしょうか。
GS特訓のクラスが発表されたとき、お子様はどんな表情でしたか?
「やっぱり早稲田」
「わーっ 筑開!」
GS特訓初日、帰宅したときのお子様は、どんな顔で、何を話してくれましたか?
「先生がね、こんなことを言ってたの」
「お弁当美味しかった!」
「同じクラスの子がね… 」
GS特訓は、中学受験において大きな節目です。
今回は、
親御さまにとってもこのGS特訓が大きな節目。
GS特訓以降、お子様との関わり方を変えましょう というお話です。
これから、GS特訓直後のある親子のエピソードをご紹介します。
このお話を通して、GS特訓が終わった後の過ごし方、親子の関わり方における注意点をお伝えできましたら幸いです。
※この内容はご本人と親御さまにご了承いただいて掲載していますが、個人の特定を防ぐため、登場する学校名等は架空のもので、実在するものとは無関係です
20X X年4月下旬
「ママ、みて! JKクラスだって!」
校舎から飛び出してきた娘は満面の笑みで、GS特訓のクラス通知用紙を顔の前でひらひらさせている。
塾は楽しそうだけど、いつになったら真剣なまなざしになってくれるのやら。。。
コインパーキングまで並んで歩きながら
「ところで JKクラスって何の略なの?」
と聞いてみる。
「やだなー ママったら、知らないの?
女子学院のJと慶應のK!」
「 …… 」
表情がこわばったのが自分でもわかった。
幸い、娘には気づかれずに済んだようだ。
喉元まで出かかった言葉を呑みこむ…
--どうして桜蔭じゃないの?
私も中学受験経験者。
受験で苦戦した姉を見ていたから、姉に関する両親の愚痴を散々聞かされていたから、自分が受験のときは地域で一番の進学塾に通わせてもらい、猛勉強の末、晴れて桜蔭に合格したのだ。
でも、その後いろいろあって、同級生の中で大学に進学しなかったのは私だけ。
だから娘には… と
幼少期から幼児教室に通い、頭の良い子に育つには何をすればよいかを常に考えていた。
絵本の読み聞かせ、モンテッソーリ、ピアノ、バイオリン…知育に良いとされることを積極的に取り入れた。
もちろん中学受験することも迷わなかった。
娘には私と違って、桜蔭からストレートに難関大学進学の道を歩んでほしい。
夫は受験にまるで無関心。
中学受験すると言ったとき
「いったいお前は、娘を何にさせたいんだ?」
と聞かれたけれど、答えたところできっと夫にはわからない。
20X X年5月3日
今日からGS特訓。
ゴールデンウィークだというのに、早起きしてお弁当の準備。
塾に通い始めて、はじめてのお弁当。
どのくらいの量がいいのかしら…
お弁当箱はこの日のために買った「曲げわっぱ」。栄養バランスと彩りにも気を遣い、汁漏れ対策も万全に。ある意味本格的な労働である。
当の本人はまだ寝ている。
「ちょっと!いつまで寝ているつもり?! 基礎トレやる時間がなくなっちゃうでしょ!」
「昨夜遅くまで、友だちとLINEしていたの 知っているんだから」
と、つい言葉が刺々しくなる。
サピへ送ったら、少しホッとする。
仕事がない日に、午前午後ともひとりで過ごすのは久しぶりだからだ。
20X X年5月5日
GS特訓最終日
「終わったー!」
また満面の笑みで校舎から小走りで飛び出してきた。
9時から5時まで、本当によく頑張った。
早速「今日はどこの席だった?」と聞いた。
3日間とも前から3番目あたりの席を死守したようだ。
さすが、私の娘だ。
「ママ、 GS特訓がんばったから、今日だけスマホの時間制限解除でお願いします!」
「そうね、でも今日だけよ 夜9時過ぎたら回収するからね。」
頬に当たるしなやかな風が、気持ちよかった。
20X X年5月6日
ゴールデンウィークが終わって、娘が学校へ。
5日ぶりの平日。
今日のタスクを組み立てる。
ふと、GS特訓のテキストを手に取ってみる。
--これはいったいどういうこと?
1冊のうち、解けた問題はたった4問。
それ以外の解答欄はすべて空欄だった。
--しかもこんな易しい問題なのに
ホワイトボードに、ペンを走らせ、解いていない単元を書き出していく。
算数だけで15項目。
書き出したものに、取り組む予定の日付をふっていく。
次は解き直しノートづくり。
余白を大きめにとって、見開きの左側に間違えた問題を、右側にもう一度解いて答を書く欄とコメント欄。4色ボールペンを駆使して書いていく。
国語は復習すべき漢字と熟語をリストアップ
ノートには必ず「いつまでに」を明記。
やっとGS特訓の解き直しノートが完成すると、もう16時半を過ぎている。
「ただいまー」
「おかえりなさい はい、これ作っておいたわよ」
「なあに」
怪訝そうにノートを覗き込む
「ほら、GS特訓の解き直しノート。このスケジュールでやれば、20日間でパーフェクト。次の組分けに間に合うわね。」
返事をしない娘
ノートを見つめる目は、驚きのような怒りのような色をしていて、一瞬ひるんだ。
「これから基礎トレやる」
重たい空気を先に動かしたのは、娘のほうだった。
「なに言ってるの? GS特訓の復習が先でしょ! これを作るの結構大変だったんだから」
空気が動いた反動で、こちらもつい言い返してしまった。
「そんなの頼んでないわよ!!」
娘の叫び声と同時に解き直しノートが宙を舞い、大きな音とともに床に叩きつけられた。
「なんてことをするの!」
「だってあなた、女子学院・慶應クラスなんて、悔しくないの?!
あなたは桜蔭を目指すのよ、ね、そうでしょ?!」
「志望校は桜蔭と出したのに、貴方は桜蔭クラスに入れなかったのよ。
そりゃそうだわね、毎日友だちとLINEばっかりやっていて、全然勉強していないもの。」
「私のいうとおりに勉強したら桜蔭に受かるのに、なんで言うこときかないの?!」
「なんでJKクラスのこんな簡単な問題ができないの?!
こんなのが解けなくて恥ずかしくないの?!」
次々と出てくる言葉
こんなことを言ってはいけないのに
お願い、誰か止めて
「もういい! 黙れ!!」
「迷惑なのよ! 桜蔭を目指しているのはママでしょ! ただの見栄でしょ!!自分の見栄のために私を使わないで!私はママのお人形じゃない!!」
娘の瞳から大粒の涙がぽろぽろこぼれた。
この日以来、娘と私はほとんど口をきかなくなってしまいました。
塾を辞め、中学受験もしませんでした。
もうかなりの月日が経ちますが、お互いの生活に必要な最小限の会話だけしかしていません。
通塾し始めた頃は、塾の持ち物を揃える、宿題の丸つけをする、できなかったことを復習させる、など、親御さまが関わることが非常に多いです。
「こうなってほしい」という親の願いはあって当然ですし、低学年のときはその願いをもとにお子様にはたらきかけをするものです。
通常授業では塾弁のないサピですが、
そのサピからお弁当を作るように言われたら…
親御さまの役割を変えるときなのです。
ちょうどこのGS特訓が、関わり方を変えるべき節目です。
もう6年生。入塾して2年以上経っています。入塾した頃のお子様と同じ関わり方では、過干渉になってしまいます。
お子様にとって、GS特訓は受験生としてのスタートです。
志望校と同志である仲間を意識し、受験生としての自覚が芽生える大切な3日間といえるでしょう。
これを機に家庭の中でおさまっていたアイデンティティが、どんどん外へ向かっていきます。お母様も、GS特訓をきっかけにお子様から手を離しましょう。
よく「伴走」と言いますが、伴走にもいろいろなフェーズがあります。
低学年の「伴走」は持ち物チェック、宿題チェック、スケジュール管理、プリント管理などですが、
6年生GS特訓以降の「伴走」は、睡眠と栄養のサポートのみです。
低学年のときのように、親御さまが解き直しノートを作ったり、学習スケジュールをきっちり管理するのは止めましょう。
中学受験は、他の受験と比較すると長丁場です。
短くて3年、長い方は6年間にも及びます。
この期間に、解き直しノートの例のように親御さまが
「こんなことがわからないなんて(受験しても無駄)」
「全然やる気がない(からダメだ)」
「これをやらせなくちゃ(大変なことになる)」
という「親御さまがお子様を管理する思考」が山積していくと、親子ともにどんどん苦しくなってしまいます。
こうなってしまうと到底入試本番まで到底走り切ることはできません。
お子様の可能性を、親御さまが潰してしまうことにもなりかねません。
なぜこんな思考に陥るかといいますと、
中学受験期間にお子様ご自身がグングン成長しているのにもかかわらず、親御さまのアプローチが、小学校低学年に対するものと変わらないからです。
特に高校受験と大学受験しか経験していない親御さまは、受験期間におけるお子様の成長度合いが、他の受験より格段速いということに気づきにくい傾向にあります。
繰り返しになりますが、
GS特訓以降は、意識的に見守るスタンスを徹底し
「よくがんばっているね」
「どこで困っているの? どうしたら解決しそうだと思う?」
「先生に質問するとしたら、何と聞く?」
とお子様の思考と行動を促す声かけをしていき、学習そのものは塾の先生にお任せします。
親御さまは睡眠と栄養のサポートのみです。
そしてもうひとつ、
ご紹介したエピソードでは、テキストの空欄を「解けなかった問題」としていましたが、「解く必要のない問題」である可能性も高いです。
テキストの空欄や手付かずのページが気になったら、自己判断せずに塾の先生へ質問することをおすすめします。
「二月の勝者」(高瀬志帆 著)で
” 母親の狂気 ”という言葉を使っていましたが、まさに”狂気”が”本能”であるところが非常に悩ましい。
お子様のことを思うあまりに、このエピソードのようなことが起こるのです。
こじれてしまった場合、他人同士と比べて、親子ゆえに取り返しがつかないところまでいってしまうことも多く、本当に心が痛みます。
たかが受験 ではありません。
お子様にとっても、親御さまにとっても、一生に一度の大切な時間。
夢中になりすぎると、大切なものを見失います。
その都度立ち止まり、人が成長する力を信じて、丁寧に時を重ねたいものです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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