こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
「今日もノー勉だったんです!」
ここ数週間、ご支援先のお母様から、ほぼ毎日のようなLINEメッセージが届きます。
とても聡明で教育熱心な方です。
お子さんの様子をよく観察されていて、次の模試までの残り日数を数えながら、日々の家庭学習を緻密に立てていらっしゃいます。
けれど、相手は小学生。
思うように進まない日も続きます。
私は、お子さんが計画通りに学習できていないことよりも、
毎日LINEを送らざるを得ない親御さんのメンタル状況のほうが、ずっと気になっています。
皆さんに質問です。
いかがでしょうか。
お子さんへの視線が、いつの間にか「監視モード」になっていませんか。
「うちの子、やる気がなくて」
「何度言っても同じことの繰り返しで…」
「勉強には向いていないんじゃないかと思って」
そんな言葉を聞くたびに、私は胸が少し痛くなります。
なぜなら、そう話す親御さんたちは、誰よりもお子さんに愛情をかけて、お子さんのことを想って日々を過ごしているからです。
1日の予定を調整し、1ヶ月のテスト日程を確認し、毎日がお子さんの中学受験中心の生活。
「私がなんとかしなくては」と常に気持ちが張り詰めている。
それなのに、現実は思うようにいかない。
「また今日もできなかった」
「あのとき強く言いすぎたかもしれない」
反省と焦りが入り混じったまま一日が終わっていく。
私のカウンセリングにいらっしゃる多くの方は、このような毎日が苦しくて来談します。
子どもの勉強を見守ることは、思った以上にエネルギーが要るものです。
中学受験では
「子どもより先に親が音を上げる」
とさえ言われるほど、親御さんの負担が大きいのです。
ただ励ますだけでなく、
子どもの“やる気をなくさせないように”気を配り、
言い過ぎないように抑えながら、
バランスを探り続ける。
家庭という日常空間の中でこの緊張感を続けるほど、親御さんの心身はすり減っていきます。
そして疲れが重なると、ほんの少しのことで心がざわつくようになります。
机に向かわない姿に、つい棘のある口調で
「宿題やったの?」
と聞いてしまう。
「このままで大丈夫だろうか」
という不安が、
お子さんへの言葉を尖らせてしまうのです。
でも、その気持ちは親なら誰でも理解できます。
責めたいのではなく、ただ未来を思うからこそ焦る。
けれど、その焦りが積もると、家庭の空気は少しずつ重く硬くなっていきます。
一方で、子どもは親の表情の変化に驚くほど敏感です。
声のトーンが少し強くなっただけで「怒られている」と感じてしまう子もいます。
すると、怒られないように行動することが最優先になり、宿題の答えを写して提出してしまうことさえあります。
仮に自分で取り組んだとしても、
怒られないための学習は、ほとんど定着しません。
学習が身につかない原因の多くは、内容や方法より“心の状態”にあります。
ですから私は、学習計画の提案だけでなく、
「ご家庭の空気」を何より大事にしています。
静かであたたかく安心できる空気の中で学べるようにすること。
それが、親子の関係を守り、子どもの学びを支える基盤になるからです。
受験期に親御さんが疲れてしまうのは当然。
良かれと思って、たくさんのエネルギーを注いできた結果なのです。
だから、いま必要なのは
“もっと頑張ること”でもなければ、”お子さんをもっと頑張らせること”でもありません。
“親御さん自身が少し休むこと”。
ほんの少し距離を置いて深呼吸する——
その余白が、親にとっても子どもにとっても、
再び前へ進む力になります。
子どもとは不思議なもので、
親がそばにいないときほど、自分のペースで活き活きと動きます。
といっても、それは“親の目を盗んで”という意味ではありません。
「信じてもらえている」と感じたとき、
子どもは自分の力を試してみたくなるのです。
あるご家庭のお話です。
親御さんが急な出張で、三日間、お子さんを祖母に預けることになりました。
普段は
「宿題やった?」
「プリントは?」
と、細かく声をかけている方でしたが、この三日間はそれができません。
出張中ずっと、不安が続いたそうです。
「きっとダラダラしているんだろうな」
「帰ったら宿題が山積みかもしれない」
ところが帰宅すると、机の上には
やり終えたプリントが束ねられ、翌日の支度まで整っていました。
「どうしたの?おばあちゃんに言われた?」
と聞くと、
お子さんは照れたように笑いながら
「おばあちゃん何も言わないよ。自分で考えた」
と答えたそうです。
誰も口を出さない時間は、
子どもにとって放任ではなく、
「任せてもらえている」サインになります。
祖母の穏やかな態度が、
安心して任されたというメッセージになったのでしょう。
監視されていないけれど、ちゃんと見てくれている。
その絶妙な距離感こそが、
子どもを動かすエネルギーになります。
親子でこの距離をつくるには、
親御さんの心には余白が必要です。
疲れ切ったままでは、
子どもの行動の一つひとつが気になり、信じて任せることが難しくなってしまいます。
思い切って物理的に少し離れると、
子どもの思ったよりできる部分が見えてきます。
それは、
成長を「評価する」視点ではなく、
成長を「発見する」視点です。
「やらせる」から「任せる」へ。
「教える」から「見守る」へ。
この転換の瞬間に、親子の関係がすっと楽になります。
低学年から中学受験に取り組んでいるご家庭には、想像しにくいかもしれませんが、親御さんが少し離れるだけで、お子さんは驚くほどグングン伸びます。
そしてその変化を生む最初の一歩が、
親御さんが休むことなのです。
多くの保護者が、「休むこと」に
どこか罪悪感を抱いています。
「私がやらなかったら誰がやるの?」
「休んだらもっと遅れてしまうのでは?」
でも、私は思います。
休むことは手を抜くことではありません。
休むことは、力を取り戻すことです。
いまうまくいっていないなら、
そのまま続けるのではなく、一旦止まって深呼吸する。
その少しの余白が、子どもの学びを左右します。
家の中で親御さんがいつもピリピリしている状況では、子どもの脳は守りのモードに入り、能動的な学びが広がりにくくなります。
私が支援してきたご家庭の中で、成績が安定して伸びていく子どもには共通点があります。
それは、途中から親御さんが余裕のある笑顔でお子さんと接するようにできるようになったことです。
親御さんの、お子さんへのアプローチが変わってから、お子さんがグングンと伸びていくんです。
親の心に余白ができると、子どもは無意識のうちにそれを感じ取ります。
「大丈夫、見捨てられていない」
「ちゃんと信じてもらっている」
—— その安心感が、子どもの中に「もっとやってみよう」という力を生むのです。
「休んだほうがいい」と頭では分かっていても、
実際に何をしたらいいのか分からない。
そんな声をよく聞きます。
休むとは、
子どもの人生から身を引くことでも、
放置することでもありません。
休むとは、
子どもの成長を妨げるほど近づきすぎた距離を、そっと元に戻すこと。
そのためには、
物理的な距離と心理的な距離の
両方をつくる必要があります。
子どもが宿題に取りかかる10分だけ、
別の部屋へ行く。
外に出る。
お茶をいれる。
視線がないだけで、
子どもは自分のペースで動けます。
最初の10分だけ見る。
最後の5分だけ確認する。
関与する割合を30%にする。
これだけで、親の心に余白が生まれます。
「宿題やった?」を1回にする。
気になったら深呼吸して1分置く。
言わない選択が、空気を変えます。
1週間に1日だけ、
「今日はチェックしない」と決める。
完璧に見ない必要はありません。
観察量を減らすだけで、子どもはのびのびします。
友人、カフェ、美容院、散歩、読書。
どんな小さな予定でも構いません。
自分の予定を先に入れた日は、
自然と「干渉しすぎない時間」が生まれます。
その抜け感が、家の空気をやわらかくします。
親が休めているのご家庭では、明らかな変化が見られます。
そして何より——
「怒られないように勉強する」から
「自分のために勉強する」に変わります。
これは偏差値以上の変化です。
今日も子どもたちの「よりよく生きたい」と願う力を信じながら、私自身も、少し休む勇気を持とうと思います。
ここまで読んでくださった方へ。
ちょっとだけセルフチェックをしてみましょう。
この中で、言ったことがあるセリフはいくつありますか?
ひとつでも心当たりがあったら、
きっとあなたは、少し疲れがたまっています。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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月1回の保護者カウンセリングつきで、お子様の学びとご家庭のコミュニケーションをサポートしています。
なお、学年途中での転塾は原則としておすすめしておりません。
現在お通いの中学受験塾のカリキュラムを尊重しながら、
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