こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
中学受験塾では、いよいよ夏期講習がはじまります。
夏休みに入り、お子さんが家にいる時間が増えますね。
お子さんを起こして、朝ごはんを準備して、
朝学習のテキストを出して、鉛筆を削って…
一年のうちでも特に夏休みは、親御さんが、お子さんの家庭学習を一人で背負い、頑張りすぎてしまう傾向にあります。
お子さんが学校が休みになっても、親御さんは普段通りに仕事があるでしょう。
仕事も家庭も忙しい中で、せっかくの夏休みだから、「夏は天王山」だから、お子さんの勉強をしっかり見てあげたい…というお気持ちは理解できますし、本当に素晴らしいものです。
その想い自体が、すでにお子さんへの何よりの愛情です。
しかしながら、親御さんがすべてを抱え込む必要はありません。
むしろ、無理に一人で頑張り続けることで、親御さん自身が疲れ果ててしまい、親子の関係がギクシャクしてしまうことも少なくありません。
親御さんが楽になるために、そしてお子さんの学びがもっと伸びるために。必要なのは、「頑張り続けること」ではありません。
特に、中学受験生保護者の皆さまは、責任のあるポジションに就き、仕事で高い成果を出してこられた方が多いです。
かつて、ご自身も中学受験を経験された親御さんは、ご両親から授かったものと同じ学び環境を、お子さんにも提供したいと考え、お子さんの教育に対して強い責任感と期待を抱きやすい傾向があります。
実際に、仕事におけるタイムマネジメント、分析力、問題解決力が高く、それを中学受験に適用しようとします。
ところが、往々にして、うまくいかないものなのです。
うまくいかない理由は2つあります。
ひとつは、上司・部下ではなく親子だから。
もうひとつは、相手(お子さん)が小学生だからです。
それに気づかない親御さんは、うまくいかないことに焦りを感じます。
「仕事で成功してきた自分が、子育てで失敗するわけにはいかない」
「別の方法であれば、結果が出るかもしれない」
「この子の将来は、すべて私の手にかかっている」
そう考えるのは、決して悪いことではありません。それは親としての責任感の表れですし、当然の感情です。
しかし、その強い思いが、知らず知らずのうちに親御さん自身を追い込んでいきます。
時間も心も、余裕を失っていき、常にイライラと感情を尖らせるようになってしまいます。
そんな親御さんの姿が、お子さんにも過剰なプレッシャーを与えかねません。
無意識に周囲の家庭と比べてしまう心理にも囚われます。
「同じクラスの○○さんは、いつもぴったり横に張り付いて勉強を見ているらしい」
「これでは学習量が足りないのでは」
うちはうち、気にしない。
と心に決めても、気にならない親御さんはいないでしょう。
気にしてはいけないという気持ちと、どうしても気になってしまう現実との間で葛藤して苦しむケースもあります。
海外赴任中のいわゆる駐在員ファミリーの方々も、国内在住の中学受験生保護者以上に、不安に駆られています。
現地ではインターナショナルスクールに通っている、あるいは日本人学校に通っていて、果たしていま子どもが受けている教育は、日本国内の教育と比較してどうなのか。
日本語の習得が遅れてはいないか。
英語の日常会話はできても、入試で通用するレベルには届いていないのではないか。
どこかで帰国するとして、子どもの中学受験を考えたときに、どのタイミングで日本の教育システムに合流するべきか。
現地では、所属企業を超えた駐在員同士のコミュニティがありますが、ご家庭ごとに駐在期間や諸条件が千差万別であるがゆえに、「こうすれば大丈夫」という王道パターンは無く、安心感は得にくいようです。
このように不安を抱えやすい駐在員ファミリーだからこそ、信頼できる相談先を持つことが、何よりの安心につながります。
このように、中学受験保護者は、知らずのうちに孤立し、見えないこと、わからないことに不安を募らせるものなのです。
親御さんが真面目で努力家であればあるほど、ご自身を辛い状況に追い込んでしまうのです。
お子さんの心の中も、親御さんが思う以上に揺れ動いています。
賢いお子さんであればあるほど、親御さんの期待を敏感に感じ取り、親御さんに認めてもらいたいがために頑張ろうとします。
逆にそんなに期待されても、自分には到底無理だと諦めの気持ちが強くなってしまう子もいます。
「勉強していなくて怒るのはわかるけど、勉強していても怒られる」
「お母さん(お父さん)は、なんでいつも怒ってばかりなんだろう」
「何をしても怒られるならば、頑張っても無駄だ」
こうしたお子さんの声を、実際に私たちは何度も聞いてきました。
親御さんが「もっとやらなきゃ」と力を入れれば入れるほど、子どもはその期待の重さに押しつぶされ、素直に伸びることができなくなってしまいます。
親御さんが「お子さんのために」と思って頑張る気持ちは、本当に尊いものです。
しかし、その強い思いが空回りしてしまうことも少なくありません。
ここでは、特に中学受験を控えた親御さんがやりがちな、3つのNG対応についてお話しします。
いずれも、よかれと思ってしていることだからこそ気づきにくく、長期的に見ると親子双方にとって負担になるケースがあります。
親御さん自身が高い問題解決力や計画性を持つ方の場合、仕事のスキルをそのまま教育にも活かそうとすることがあります。
「先に全ての段取りを整え、子どもはそれをこなすだけにする」
というやり方です。
これは一見効率的で、短期的にはうまくいくように見えます。
しかし、お子さんにとっては
「自分の意志で選んだ」
という実感が得られず、受け身の姿勢が強くなります。
指示がないと動けない、言われたことしかしない、目標に向かう主体性が育たない、といった結果につながることがあります。
逆に、「子どもが自立しないのはよくない」「親が口を出しすぎるのは悪い」という意識から、過度に距離を置いてしまう親御さんもいらっしゃいます。
「もう○年生なんだから自分でやりなさい」
と任せきりにしたり、結果だけを見て叱る形になったりするケースです。
もちろん、年齢に応じた自立を促すことは重要です。
しかし、必要なサポートまで削ってしまうと、子どもは何をしていいかわからず、ただ不安だけが募ってしまいます。
学習習慣や目標意識が定着しないまま、成績が伸び悩む原因にもなります。
もっとも多く見られるのが、親御さんがつい感情的になり、家庭の空気が常に張り詰めた状態になってしまうケースです。
親御さんも本当は怒りたいわけではありません。
でも、仕事と育児で疲れている中で、目の前の子どもがだらだらしていたり、同じミスを繰り返したりすると、つい強い言葉が出てしまう。
その積み重ねで、子どもにとって「家はくつろげる場所」ではなく「勉強の戦場」になってしまいます。
お子さんも、叱られたくない一心で机に向かうようになりますが、それは本当の意味での学びにはつながりません。
学習意欲が低下したり、「勉強=苦しいもの」というイメージが強まったりすることもあります。
こうしたNG対応は、すぐに目に見える問題として現れるわけではありません。
しかし、半年、1年と積み重なるうちに、親御さんもお子さんも、心に深い疲労が溜まっていきます。
・子どもの学びが停滞する
・親子の会話が減る
・お子さんが家では勉強しなくなる
・お子さんの自己肯定感が低下する
といった現象が現れやすくなります。
親御さんの想いが強いからこそ、このような負のサイクルに陥りやすいのです。
ここまで読んで、
「もしかしたら自分もやっているかもしれない」
と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
それは悪いことではありません。
誰もが最初は手探りで、間違いながら学ぶものです。
大切なのは、気づいたときに方向を変える勇気を持つことです。
親御さんの中には、初めて相談にいらした時に
「すみません、私がこんなにできない親で」
とおっしゃる方が少なくありません。
でも、私たちはいつもお伝えしています。
「できないのではなく、やりすぎているだけです」と。
一人で背負わず、相談できる相手がいる。
プロに任せられる部分は任せる。
これだけで、親御さんの表情が見違えるように変わります。
あるお母様は、
「夜になると、私と子どものどちらが泣くかの勝負みたいだったのに、いまは普通に一緒に夕食を楽しめるようになった」
とお話しくださいました。
親御さんの心に余裕が生まれることで、親子の時間が「指示と叱責の場」から「笑顔の場」に変わるのです
親御さんの力みが抜けると、不思議なことにお子さんも変わっていきます。
これまで親の顔色ばかりうかがっていたお子さんが、自分で考え、計画を立てるようになるのです。
「怒られないようにやる」のではなく、「自分のためにやる」。
この主体性が芽生えるのは、親御さんの見守る姿勢と、第三者が寄り添う環境があってこそです。
支えができると、親御さんの負担が減り、お子さんの不安も和らぎます。
その結果、親子の会話のトーンが変わります。
以前は宿題のチェックをしながら険悪になっていた時間が、いまは塾や先生とのやり取りの報告を聞いて「よく頑張ったね」と言える時間に変わった、というお声もよくいただきます。
最後に、あるご家庭のエピソードをご紹介します。
駐在員として海外に赴任されていたお母様から、帰国後の私立中学進学についてご相談をいただきました。
現地ではインターナショナルスクールに通い、日本語は家庭内のみ。現地語も混ざる中で、日本の中学受験に間に合うのかとても不安だったそうです。
週に1回のオンライン個人指導と月に1回のカウンセリングを始めると、最初は緊張していたお子さんも、3ヶ月ほどで自主的に計画を立て、能動的な学習に取り組めるようになりました。
日本語の学習フォローを行いながらも、英語を活かした中学入試の準備を進め、お父様の任期満了の少し前にお母様とお子さんだけが帰国して、無事に第一志望校の合格を果たすことができました。
「勉強のことはプロにお願いして、私は子どもの健康管理と、家庭を安心できる環境にすること、この2つのみに徹するようにしたら、親子の時間がとても穏やかになりました。あのとき相談していなかったら、今ごろは夫婦喧嘩と親子喧嘩ばかりしていたと思います。」
そのお言葉が、とても印象に残っています。
支えを持つことは、決して甘えではありません。
むしろ、親御さんが本当に大切にしたいものを守るための「戦略」です。
次の章では、具体的にどのようにしてその「支え」をつくるのか。
そのポイントについてお伝えします。
ここまでお読みいただいた親御さんは、
「支えが必要なのはわかったけれど、どうやって見つければいいのだろう?」
と感じていらっしゃるかもしれません。
実際、支えとなる存在や仕組みは、探し方や選び方を間違えると、かえって不安や負担が増えてしまうこともあります。
ここでは、親子にとって本当に価値のある「支え」をつくるためのポイントをお伝えします。
親御さんとお子さんだけで抱え込むと、どうしても視野が狭くなりがちです。
「どうしてこんなにうまくいかないんだろう」
「自分のやり方が間違っているのだろうか」
と、堂々巡りになってしまうことも少なくありません。
まずは、家庭の外に目を向けてみてください。
第三者が入ることで、空気が変わり、親御さんもお子さんも新しい視点を得られます。
「こんな考え方があるのか」
「うちだけの問題じゃなかったんだ」
と気づくだけでも、心が軽くなるものです。
中学受験となると、つい
「偏差値を上げてくれる人かどうか」
で支えを選びたくなるものです。
もちろん、学力を上げることは重要です。
ですが、親子の関係やお子さんの心が壊れてしまっては、学力が上がったとしても意味がありません。
大切なのは、
「結果だけでなく、過程を大切にしてくれるか」
という視点です。
学習面のサポートはもちろんですが、失敗を受け容れてくれる、心のよりどころになってくれる、そうした伴走者であることが大切です。
支えが必要なのは、お子さんだけではありません。
親御さんの気持ちも、誰かに受け止めてもらえると、それだけで心が軽くなります。
「こんなこと相談していいのかわからなくて…」
「自分がダメな親だと思われたらどうしよう…」
そんな気持ちを、安心して口にできる場があるかどうか。
親御さん自身の気持ちもケアしてくれる支えこそ、長く信頼できるパートナーになります。
私たちは、こうした視点で親御さんやお子さんを支えるために、いくつかの仕組みを用意しています。
たとえば…
もちろん、必ずしも私たちでなくても構いません。
大切なのは、親御さんとお子さんに合った「支え」を見つけることです。
最後に、支えを選ぶ際のポイントをまとめます。
これらを意識して、ぜひ安心して頼れる支えを見つけてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
少しでも皆さまのお役に立てたらと、精一杯心を込めて書きました。
もし、家庭内だけでは難しいと感じられることがありましたら、どうかひとりで抱え込まずにご相談ください。
2ndスクールオンラインでは、
月1回の保護者カウンセリングつきで、お子様の学びとご家庭のコミュニケーションをサポートしています。
なお、学年途中での転塾は原則としておすすめしておりません。
現在お通いの中学受験塾のカリキュラムを尊重しながら、
集団授業では理解を深めにくい単元を、1対1で丁寧に指導いたします。
お通いの塾と併用する形で、ご利用ください。
▼ お子さまのタイプに合わせた学習サポートにご興味のある方へ
→ コース紹介はこちら
▼ まずは一度、教室長との個別相談をご希望の方へ
→ ご相談のお申込みはこちら
中学受験の情報にあふれた世の中で、
“うちの子にとって最善の選択”を見つけるのは簡単ではありません。
そんなとき、少しだけ私たちにお力添えできればと願っています。
📣 教室長のSNSでは、日々の子育て・中学受験に役立つヒントを発信しています。
フォローいただけると励みになります。
Instagram:@cosoren_support