こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
年間にして約100件、たくさんの保護者の方々の悩みをお聞きする機会がありますが、3月のご相談事例として一番多いのが、「中学受験撤退」についてです。
中学受験をやめるべきなのか、続けるべきなのか。
その決断に迷う親御さんは精神的に追い詰められ、冷静に判断することができなくなっています。
カウンセリングに来られる方の多くは、涙ながらに
「もう無理かもしれない」
と、心境を訥々と語られます。
「もう限界…!」
そう思いながらも、どうすればいいのかわからずにいる親御さんへ。
もし中学受験撤退が最善の選択であるならば、こんなに迷い悩むことはないでしょう。
最善の選択だと思えない何かがあるのですよね。
まずは、どうして迷っているのか、何がこれほどにも悩ましく追い詰められてしまっているのか、それを一緒に考えていきましょう。
過去にも当教室長ブログの
「中学受験撤退を考えるときーー親が絶対に知っておくべき判断基準!」
という記事で、中学受験撤退の判断基準について解説しましたが、今回は中学受験撤退に対する親御さんの心理に焦点を当てて解説します。
中学受験を撤退するかどうか迷うとき、親御さんの心の中にはさまざまな感情が渦巻いています。
中学受験塾に通い始めてから、ご家庭の生活は大きく変わったことでしょう。
塾の送迎、塾弁、家庭学習のフォロー、解き直しノート。 幼少期から続けていた習い事を、中学受験を機にやめた。 親として精一杯サポートしてきたはずです。
それなのに、ここで「中学受験撤退」を選択すると、まるで親御さんのいままでの努力が無駄になってしまうように感じていませんか。
「ここで諦めるのは敗北なのではないか…?」
そんな気持ちにさいなまれていませんか?
「受験を勧めたのは私だけど、そもそもうちの子には向いていなかったのでは」
「無理して大手塾に入れたけど、もっと他の方法があったのでは」
「周りがみんな受験しているから…と思ったけど、子どもらしい生活を奪ってしまったのでは」
このような罪悪感にさいなまれ、あまりの精神的重圧に身動きが取れない状況に陥ってしまうこともあります。
「同級生の◯◯くんは頑張っているのに、うちの子は…?」
「ママ友や親戚になんて言おうか」
「合格する前提で子どもに話していたから、今さら…」
中学受験を見送ることが、親御さんご自身の価値を下げてしまうと思い込んでしまう方もいらっしゃいます。
「成績優秀な子 優秀な親」
「中学受験をやめる ダメな親」
そんな価値観にとらわれてしまうこともあります。
中学受験撤退を決断できず、悩んで追い詰められる親御さんは、公立中学進学に対する漠然とした不安をお持ちのようです。
「ここでやめたら、子どもの将来に影響が出るのでは?」
「このまま公立に進んで、学力が落ちたらどうしよう?」
「今やめることで、将来の選択肢が狭まるのでは?」
「中学受験撤退」という言葉は、正しい言葉ではありません。
「撤退」という言葉は「敗退」というマイナスなイメージを伴いますが、「中学受験をしない」と決めることは「撤退」でも「敗退」でもなく、ただの「選択」のひとつにすぎません。
およそ80〜100年続くお子さんの人生のうちの、たった10〜12歳のときに公立中学に進学するのか、私立中学に進学するのか、それを選択するだけのことなのです。
断言します。公立中学に進学しても、私立中学に進学しても、それだけでお子さんの人生が劇的に変わることはありません。
しかし、追い詰められた状態では適切な判断ができません。
ですからまず、次の3つの視点を持ってみてください。
親御さんが精神的に追い詰められたままでは、どんな選択をしても後悔が残ってしまいます。
最近、ご家庭において「中学受験」以外の話題はありましたか? 受験がすべてになりすぎていませんか?
「受験をやめること」はゴールではなく、新しいスタートです。
一旦立ち止まって考えてみましょう。
中学受験する・しないは、お子さんのお友だちなど、他の家庭とは無関係です。
大切なのは、「あなたの家族がどうありたいか」 それだけです。
多くの受験生とその親御さんにかかわってきた立場からアドバイスをさせていただくと、中学受験をすると決めて取り組み始めたのであれば、取り組み始めたきっかけがどうであったとしても、最後まで走り抜いてほしいと思います。
なぜならば、中学受験だけでなく、どんなことにおいても『取り組んでいることを途中でやめる』という経験は、お子さんの成長に良い影響を与えないからです。
もし途中でやめるのであれば、お子さん自身がしっかりと納得できる形にしてあげるべきです。
「良い学校に合格できそうもないからやめる」
——この考えが最もお子さんの成長に悪影響を与えます。
受験は「合格=勝ち」「不合格=負け」ではなく、努力を続ける経験そのものに価値があります。
ただし、お子さんの健康面での問題がある場合のみ、「休む」という選択肢を検討しましょう。
周囲をうまく巻き込み、専門家に相談しながら、お子さんにとって、ご家族にとって、最善の選択をしていきましょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
私にできることが、少しでも皆さまのお役に立てたらと、精一杯心を込めて書きました。
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