こんにちは
2ndスクールオンライン 教室長の奥田みほです。
夏休みの間、お子さんも親御さんも、本当に頑張りました。
お子さんは朝早くから夜遅くまで塾に通い、親御さんはお弁当を作り、送り出し、宿題や苦手単元の復習にも付き合いました。
「今年の夏は本気でやりきった」
という手応えを持たれた方が多いと思います。
ところが、9月の模試が返ってきたときに目にした数字に、愕然とした方も少なくないでしょう。
「これだけ頑張ったのに、こんなに偏差値が下がっているなんて」
「仕事を時短にして全力でサポートしたのに、どうして」
焦りや苛立ちが、そのままお子さんへの厳しい言葉となって出てしまうことがあります。
しかし、その一瞬の反応が、子どもの心に大きな影を落とすのです。
ここでは、実際のケースをモデルにした二つのストーリーをご紹介します。
模試の結果はどちらも芳しくありませんでしたが、親の関わり方によって、その後の歩みは大きく分かれました。
Aくんは小学6年生。受験まで半年を切り、夏休みは一日中勉強漬けでした。
朝から塾に通い、帰宅後も復習を欠かさない。
お母様がスケジュールをびっしり管理し、「これなら偏差値も上がるに違いない」と期待は高まっていました。
ところが、夏明け模試の結果は、まさかの偏差値ダウン。
努力した分だけ、落胆も大きかったのです。
成績表を手にしたお母様の顔つきが変わりました。
「こんなにやったのに、なんでできないの!?」
肩を震わせるお母様の目には涙が…
Aくんは、うつむいたまま、何も言えませんでした。
「ぼくだって、がんばったんだよ でもできなかったんだよ」
心の中で何度も何度も、そう叫んでいました。
翌日、朝食の時間になっても、Aくんは部屋から出てきませんでした。
「Aくん、早く朝ごはんたべなさい 学校に遅れるわよ」
ドアの外からお母様が声をかけましたが、返事がありません。
「もう、何やってるのかしら!」
苛立つ気持ちでドアを開けると… Aくんはまだベッドの中です。
「ちょっと! 起きなさい! 遅刻するでしょ! 」
「早くご飯食べてくれないと、私が仕事に遅れちゃうのよ!」
「もう やだ!!!」
そう叫んだAくんは、ベッドから飛び起きて、部屋中のありとあらゆるものを手に取り、お母様に投げつけました。
塾のテキスト、タイマー、塾で表彰されたときの大切な盾まで、次々と手に取り力いっぱい投げつけたのです。
驚いたお母様は慌てて部屋を出て、ドアをバタンと閉めました。
この日を境に、Aくんは学校に行けなくなりました。
塾に送っていくよと声をかけても、返事をしません。
果てには暴言を吐き、ご両親に物を投げつけたり、荒れるようになりました。
学校にも行かず、塾にも行かず、食事や入浴のときは、部屋から出てくるのですが、また暴れるかも…と、ご両親のほうが腫れ物に触るように、家族の会話はありません。
お父様は
「まだ受験まで時間があるんだから、しばらくそっとしておこう」
と言いましたが、
お母様は
「あなたはいままで何もしてくれなかったのに、いまさら何よ!」
と言ってお父様を責めます。
するとお父様も
「ここまでAを追い詰めたのは、お前じゃないか」
と反論…
家庭の空気はどんどん重くなっていきました。
ご両親が激しく言い争う様子は、自室に閉じこもっているAくんに聞こえていました。
「ぼくのせいだ…」
ますますAくんの心は暗く重くなっていきます。
ある日、Aくんはふらりと外に出ました。
どこをどのように歩いたか、あまり覚えていません。
「きみ、どうした?」
制服を着た警察官に、声をかけられて我にかえりました。
警察に保護され、ようやく帰宅。
警察官に付き添われ、玄関の灯りを見てホッとしたのも束の間、玄関を開けると、仁王立ちのお母様が。
「いいかげんにしなさい!」
この日以来、Aくんはますます心を閉ざし、ひきこもり生活は5年以上続いています。
進学どころか、人との関わりさえ避けるようになってしまいました。
もちろん、お母様に悪意があったわけではありません。
むしろAくんを思う気持ちが強かったからこその言動でしょう。
ご支援先のご家庭において、Aくんのようなケースは、決して珍しくありません。
悲しいことに「後を絶たない」と言えるほど、多いのです。
カウンセリングで親御さんとお子さんの心に寄り添い、対話しますが、お子さんが外に出られるようになるまでに、相当な時間を要します。
個人差はありますが、親御さんが「10〜20年待つ」くらいの、ゆったりした気持ちになれたときに、少しずつ回復の兆しが見えてくる… そんな感じです。
Bくんもまた、夏休みに全力で勉強しました。
毎日、計画的に課題をこなし、苦手単元にも挑戦しました。
お母様も
「ここまで頑張ったのだから、きっと結果につながるはず」
と信じていました。
しかし、模試の成績は思ったようには伸びませんでした。
期待していた分、ショックは大きかったです。
お母様もスマホでその結果を見たときに、塾から帰ったBくんに、なんと声をかけたら良いか、悩んでいました。
結局、その夜、お母様はBくんの手を握って、ゆっくりと話しました。
「今回の結果、悔しいね…」
「でもね、見てごらん。ここは前よりできるようになっているよ。」
「正答率の低い問題も解けてるし、Bくんの努力はちゃんと形になってる。」
「だから大丈夫。めげないで次へ進もう!」
Bくんは目を見張りました。そしてその目に涙が溢れました。こくんと小さく頷きました。
「ぼく、次はもっと頑張る」
その日から、Bくんは自ら苦手単元に向き合うようになりました。
学習時間も増え、学びのリズムを自分で作り出せるようになったのです。
お母様は、なるべく余計なことを言わないようにと、自分に言い聞かせて、食事の支度や就寝時刻の声かけなど、勉強以外の栄養、睡眠、生活リズムのサポートに徹しました。
お母様は、学習そのものに口出ししたくなることもあったそうですが、Bくんに直接何かを言うのはグッと堪えたそうです。
その代わりに、Bくんの学習に関する不安は、塾の先生に相談していました。必要なアドバイスは先生からBくんに伝えてもらいました。
その後の模試では少しずつ点数が安定し、最終的には第一志望に手が届くところまで成績を伸ばしました。
この2つのケースで特筆すべきは、お母様の“声かけの違い”です。
結果に失望する気持ちは同じでしたが、「責める」ではなく「受け止めて励ます+見守る姿勢」が、子どもの未来を大きく変えたわけです。
「偏差値」や「得点」という数字は、客観的でわかりやすく、つい「それが真実であり、すべてである」と思い込みがちです。
しかし、その認識は誤りです。偏差値という数字は「一瞬のスナップショット」にすぎません。
そのわかりやすい「偏差値」や「得点」に振り回され、親が感情的になってしまえば、子どもの心は「逃げ場」を失います。
逆に、
「ここはできるようになったね」
「次はこう工夫してみよう」
と声をかけられれば、子どもは安心して前を向くことができます。
模試の結果は「失敗」ではなく「もう少しがんばるべきところがわかるツール」です。次回模試に向けて、対策の材料と捉えましょう。
それができるご家庭ならば、子どもが主体性をもって最後まで粘り強く走り切ることができるのです。
そもそも、夏休み明けの模試は特殊です。
全国の受験生が夏期講習を終えて受験するため、母集団のレベルが一気に上がります。
平均点も上がり、相対的に「下がった」と見える子が多いのです。
つまり、夏休み明け模試で偏差値が伸び悩んだからといって、努力が無駄だったわけではありません。
むしろ夏明け模試の結果を前向きに捉えて、ここから秋・冬にかけて力を発揮できるかどうかが、本当の勝負どころです。
模試の数字だけで親子の関係を壊してしまうのは、とてももったいないこと。
夏に積み重ねた努力は、必ずどこかで成果となって返ってきます。
模試の数字を見て一番落ち込んでいるのは、ほかでもないお子さん本人です。
だからこそ、親が責めてしまえば「心の逃げ場」がなくなります。
こんなときこそ、次のような言葉をかけてください。
その一言で、子どもは安心し、再び立ち上がることができます。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
もし、「どう声をかけたらいいのか分からない」「家庭内だけでは支えきれない」と感じられることがあれば、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。
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